中2物理【*比熱の問題】

このページでは「比熱」や「比熱を使った例題」について解説しています。

「熱容量」という語句も少しだけ解説しています。

中学内容を少し飛び越え、高校内容を含みます。

熱量についての基本事項は【熱量・電力量】を確認してください。

水を温める問題などは【熱の出入りについての問題】を確認してください。

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1.*比熱とは

熱量の単位には2つあります。

1つは J(ジュール)

もう1つは cal(カロリー)

 

「cal(カロリー)」という単位は、水を基準に定められています。

水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量を1calとする。』

という基準です。

 

むかしは「cal(カロリー)」という単位が広く使われました。

現在は「J(ジュール)」の単位の方を使うことが推奨されています。

 

「J」と「cal」は同じ熱量の単位なので、きちんとした関係性があります。

$$1cal=4.184J$$

という関係です。

 

ただ数字として扱いにくいため、中学理科では

$$1cal=約4.2J$$

という関係を用いることが多いです。

 

つまり

水1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量は4.2Jである

と言い換えることができます。

 

この4.2Jは、水の性質です。

温度を1℃上げるために、もっと熱が必要な物質もあります。反対に、もっと少ない熱で済む物質もあります。

 

すなわち、温まりやすい物質、温まりにくい物質があります。

その性質の違いを表す値が比熱です。

 

■比熱

物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量のこと。

たとえば水の比熱は約4.2J。

※正確な単位は(cal/g・℃)または(J/g・℃)

 

■比熱と温まりやすさ

比熱が大きい物質とは・・・

→ 温めるために必要な熱が多い。つまり、温まりにくい物質。

 

比熱が小さい物質とは・・・

→ 温めるために必要な熱が少ない。つまり、温まりやすい物質。

 

■物質が得た熱量と比熱の関係


$$物質が得た熱量(J)=比熱×物質の質量(g)×上昇温度(℃)$$

 

※ちなみに(cal)でいくと

$$物質が得た熱量(cal)=比熱(cal/g・℃)×物質の質量(g)×上昇温度(℃)$$

 

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2.*比熱に関する例題

例題1

ある物質300gに6000Jの熱を与えると物質の温度が10℃上がった。この物質の比熱はいくらか。

(答)

先ほどの公式

$$物質が得た熱量(J)=比熱×物質の質量(g)×上昇温度(℃)$$

を使います。

 

求めたい比熱をxとすると

$$6000J=x×300g×10℃$$

これを解いて

$$x=2$$

よって比熱は2(J/g・℃)です。

 

例題2

次のような装置で、5Ωの電熱線に40Vの電圧を加えて、200秒間電流を流した。

このとき300gの液体Pの温度は20℃上昇した。

液体Pの比熱はいくらか。

ただし電熱線から発生した熱のうち60%が液体Pの温度上昇に使われたものとする。

(答)

この実験では

・電熱線から熱が出た

・その熱の一部(いまは60%)が液体Pに入った

という流れで液体Pの温度が上昇しています。

 

まず電熱線から出た熱の量(発生した熱量)を求めましょう。

電熱線から発生した熱量は次のように求められます。

$$電熱線から発生した熱量(J)=電力(W)×時間(s)$$

 

この問いでは5Ωの電熱線に40Vの電圧を加えています。

よってオームの法則から

$$電流(A)=\frac{電圧(V)}{抵抗(Ω)}=\frac{40V}{5Ω}=8A$$

 

電力の公式を使って

$$電力(W)=電流(A)×電圧(V)=8A×40V=320W$$

 

よって電熱線から発生した熱量は

$$電熱線から発生した熱量(J)=電力(W)×時間(s)=320W×200秒=64000J$$

となります。

 

このうち「60%が液体Pの温度上昇に使われた」とあるので

$$64000×\frac{60}{100}=38400J・・・①$$

の熱量が液体Pに入ったことになります。

 

ここで液体Pの比熱をxとして、液体Pに入った熱量をxで表しましょう。

例題1でも用いた公式から

$$液体Pが得た熱量=x×300g×20℃=6000x(J)・・・②$$

 

①と②は等しいはずなので、次の式が成り立ちます。

$$6000x=38400$$

$$x=6.4$$

 

よって液体Pの比熱は6.4(J/g・℃)となります。

 

解き方のコツ

このような電熱線を使って液体を温める問題。

電熱線から出た熱量=電力(W)×時間(s)

によって「出た熱量」を求めます。

 

物質が得た熱量(J)=比熱×物質の質量(g)×上昇温度(℃)

によって物質に「入った熱量」を求めます。

 

この「出た熱量」と「入った熱量」の関係から式をつくるというやり方が一般的です。

 

POINT!!

「電熱線から出た熱量=電力(W)×時間(s)」によって「出た熱量」を求める。

「物質が得た熱量=比熱×物質の質量(g)×上昇温度(℃)」によって「入った熱量」を求める。

この2つの関係を式に表す。

 

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3.*熱容量

高校以降では比熱だけでなく熱容量という語句を学ぶこともあります。

熱容量とは、物質の温度を1℃上げるのに必要な熱量のことです。

 

つまり

$$熱容量=比熱×物質の質量$$

で求めることができます。

 

また

$$物質が得た熱量(J)=比熱×物質の質量(g)×上昇温度(℃)=熱容量×上昇温度(℃)$$

とも表すことができます。

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