中3化学【*いろいろな電気分解】

中学校で学習する電気分解は

塩酸(解説は→こちら←)・塩化銅水溶液(解説は→こちら←

の2つが中心です。

 

 

水の電気分解も出題はされますが、詳しい原理まで問われることは珍しいです。(解説は→こちら←

 

 

とはいえ、難しめの入試問題では、水の電気分解はもちろん、

食塩水の電気分解、硫酸銅水溶液の電気分解など

学校ではあまり習わないものも出題されることがあります。

 

 

ここでは、さまざまな水溶液の電気分解の考え方を紹介します。

 

 

 

1.電気分解の基本原理

電気分解というのは、水溶液に電流を通すことで物質が分解されること。

(分解は、1種類の物質から2種類以上の物質ができる化学変化)

 

 

電流の正体とは電子でした。

(そのあたりの話は→【放電】←で解説しています。)

 

 

その電子の動きをつくっているのは電源装置や電池です。

 

 

よって電気分解では

水溶液に電源装置をつないで、無理やり電子を動かす

ということが起こっています。

 

 

その結果、陽極や陰極において、電子が得られたり失ったりという

電子が関係した反応

が起こることになります。

 

 

電解質が溶けた水溶液に電源装置をつなぎ、スイッチをONにすると↓のように電流が流れます。

 

 

電流の正体は電子です。

電流の流れと電子の流れは互いに逆向きでした。(中2で学習)

そのため↓のように電子が動かされることになります。

 

 

陽極では、液中の誰かから電子をもらいます。

 

 

その電子が電源装置によって、

陽極→導線→電源装置→導線→陰極

へと運ばれます。

 

陰極にどんどん電子がたまっていくのです。

このときたまった電子を処理するのに、液中のイオンに持っていってもらうのです。

 

 

 

陽極では、液中の陰イオンから電子をもらいます。

陰イオンは電子を失うことになります。

そして陰イオンは原子になってしまいます。(↓の図)

 

 

陰極では、液中の陽イオンが電子を持っていってくれます。

陽イオンは電子を得ることになります。

そして陽イオンは原子になります。

 

 


※補足

イオンは原子が変化したもの。

原子は「+の電気の数=-の電気の数」となっている。

 

そして

原子が電子(-の電気)を失った・・・+の電気の方が多くなるので陽イオンとなる。

 

 

原子が電子(-の電気)を得た・・・・-の電気の方が多くなるので陰イオンとなる。

 

 

ということです。

このあたりの話は→【イオンとは】←で解説しています。

 

 

 

POINT!!

 

電気分解の基本原理を押さえておこう!

 

電気分解とは、電源装置によって電子を無理やり動かすことで起こる。

 

陽極では・・・陰イオンが電子を得て、原子になる。

 

陰極では・・・陽イオンが電子を失って、原子になる。

 

 

2.電気分解で生じるもの

では、陽極や陰極ではどのような物質が生じるのかを考えましょう。

 

 

どのような物質が生じるかは、ある程度規則性があります。

 

 

その規則性は、溶けている物質(溶質)から電離して生じるイオンによります。

 

 

陰極と陽極のそれぞれについて紹介します。

 

 

陽極の場合

先述の通り、次のような反応が起こりますね。

 

陰イオンが電子を得て、原子になる。

 

① 液中に塩化物イオンClがある場合

塩化物イオンClが電子を失い、塩素原子Clとなります。

 

その結果、塩素の気体Cl2が発生します。

 

式で書くと

2Cl → Cl2 + 2e

eは電子のこと。)

 

 

②液中に水酸化物イオンOHがある場合

水酸化物イオンOHが電子を失います。

 

その結果、酸素の気体O2が発生します。

 

式で書くと

4OH→ O2 + 2H2O + 2e

 

 

③液中にClOHもない場合

この場合、液中にSO42-NO3などがあることが多いです。

 

これらはさまざまな原子が集まってイオンになっています。(多原子イオンという)

 

だから重たい、そのため動きにくい。

 

よって反応に関与しないと覚えておきましょう。

 

 

では陰極はだれから電子をもらうのでしょうか。

 

・・・

 

答は水H2Oです。電子を持っていそうなのは水しかありません。

 

水分子H2Oが電子を失います。

(水は陰イオンではないので、まさに”無理やり”引き起こしている反応です。そのため、そんなに起こりやすい反応ではありません)

 

その結果、酸素の気体O2が発生します。

 

式で書くと

2H2O → 4H + O2 + 2e

 

 

 

まとめると↓のようになります。

 

POINT!!

電気分解において、陽極側で発生する物質は・・・

① 液中にClがある・・・塩素の気体Cl2発生

② 液中にClがない・・・酸素の気体O2発生

 

 

 

陰極の場合

先述の通り、次のような反応が起こりますね。

 

陽イオンが電子を失って、原子になる。

 

 

陰極では「イオン化傾向」というものが関係してきます。

 

 

イオン化傾向とは「どれだけイオンになりやすいか・なりにくいか」を表します。

 

 

中学では、次の8つについて覚えておくとよいでしょう。

(どれも陽イオンになるものばかりです。)

 

 

ちなみに高校ならば、次を覚えておく必要があります。

 

 

電気分解の話にもどります。

 

 

①液中に水素Hよりイオン化傾向が大きいイオンがあるとき

イオン化傾向が大きい=できるだけイオンのままでいたい

ということです。

つまりイオン化傾向の大きいイオンには何も起こりません。

 

 

一方で水素イオンH

イオン化傾向が小さい=できるだけイオンでいたくない

ということです。

 

 

よって陰極から電子を得て、水素原子にもどります。

その結果、水素の気体H2が発生します。

 

 

式で書くと

2H+2e→H2

 

 

 

②液中に水素Hよりイオン化傾向が小さいイオンがあるとき

イオン化傾向が小さい=できるだけイオンでいたくない

ということです。

イオンでいたくないので、原子にもどろうとします。

 

 

一方で水素イオンHは、それに比べて

イオン化傾向が大きい=できるだけイオンのままでいたい

ということです。

よって水素イオンHには何も起こりません。

 

 

 

したがってイオン化傾向の小さなイオンが、陰極から電子を得て原子にもどります。

 

銀イオンAgならば、陰極から電子を得て、銀原子Agになります。

式で書くと

Ag+ e→ Ag

 

 

銅イオンCu2+ならば、陰極から電子を得て、銅原子Cuになります。

式で書くと

Cu2++ 2e→ Cu

 

 

まとめると↓のようになります。

 

POINT!!

電気分解において、陰極側で生じる物質は・・・

① 液中にHよりイオン化傾向が大きいイオンがあるとき

・・・水素の気体H2が発生

② 液中にHよりイオン化傾向が小さいイオンがあるとき

・・・そのイオンが原子となる

 

 

3.ここまでのまとめ

陽極では・・・

陰イオンが電子を得て、原子になる。

 液中にClがある・・・塩素の気体Cl2発生

 液中にClがない・・・酸素の気体O2発生

 

 

陰極では・・・

陽イオンが電子を失って、原子になる。

 液中にHよりイオン化傾向が大きいイオンがあるとき

・・・  水素の気体H2が発生

② 液中にHよりイオン化傾向が小さいイオンがあるとき

・・・  そのイオンが原子となる

 

※以上の電気分解は、電極が白金や炭素のとき

 

 

中学生の人にとってはやや難しいかもしれません。

しかし、以上の原理を理解していると、丸暗記に頼らずにすみますし、このことを覚えていると高校でも役立ちます。

せひがんばってみてください。

コメント

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました