このページでは「エネルギーの変換効率」とは何か、「エネルギーの変換効率の計算方法」について解説しています。
1.エネルギーの変換効率とは
豆電球に電気エネルギーを与えたとしましょう。
すると豆電球は光ります。(光エネルギーに変換される)
ここで豆電球をさわってみると、豆電球は熱いですよね。つまり熱エネルギーが生じているのです。
豆電球は電気エネルギーを光エネルギーに変換します。
しかし得た電気エネルギーをすべて光エネルギーに変換するのではなく、一部は目的ではない熱エネルギーに変換されてしまいます。
このとき
豆電球が得た電気エネルギー=光エネルギー+熱エネルギー
となっています。
このようにエネルギーが移り変わる際、
得たエネルギーの総量=目的のエネルギー+目的以外のエネルギー
となっています。(エネルギー保存の法則という)
得たエネルギーのうち、何%が目的のエネルギーへと変換されたか。この割合を変換効率といいます。
$$変換効率(%)=\frac{目的に使われたエネルギー}{得たエネルギー}×100$$
2.エネルギーの変換効率を調べる実験
次の2つの例を見てみましょう。
例1 モーターでおもりを持ち上げる実験
↑のように電源装置に電流計とモーターをつなぎます。
モーターにはおもりがつながっており、モーターが作動することでおもりが何mか持ち上がります。
このとき、モーターが得た電気エネルギーの一部がおもりを持ち上げることに使われたのです。
つまりモーターが得た電気エネルギーの一部が、おもりの位置エネルギーへと変換されたのです。
モーターに加わる電圧や流れる電流、おもりの質量などが↓の条件のとき、変換効率を計算してみましょう。
モーターが得た電気エネルギーは次のように計算します。
$$電気エネルギー(J)=電力(W)×時間(秒)・・・①$$
よってこの場合、
$$モーターの電力(W)=6V×5A=30W$$
$$モーターの得た電気エネルギー(J)=30W×10秒=300J$$
一方でおもりが得た位置エネルギーは次のように計算します。
$$位置エネルギー(J)=重さ(N)×高さ(m)・・・②$$
したがってこの場合、
$$おもりの得た位置エネルギー(J)=8N×6m=48J$$
以上より、変換効率は
$$変換効率(%)=\frac{目的に使われたエネルギー}{得たエネルギー}×100$$
$$=\frac{48J}{300J}×100=16%$$
となります。
例2 おもりを落として手回し発電機を発電する
↑のように、手回し発電機に豆電球や電流計・電圧計をつなぎます。
手回し発電機のハンドルの部分におもりをつるし、このおもりを落とします。
するとハンドルが回転し、手回し発電機が発電されます。
その結果、豆電球に電流が流れ、光ります。
おもりが失った位置エネルギーの一部が、電気エネルギーへと変換されるのです。
その電気エネルギーの一部が最終的に光エネルギーへと移り変わります。
おもりの質量や豆電球に加わる電圧や流れる電流が↓のとき、手回し発電機の変換効率を求めてみましょう。
おもりが失った位置エネルギーは例1の①式より
$$おもりが失った位置エネルギー(J)=重さ(N)×落下した高さ(m)$$
$$=2N×5m=10J$$
一方で手回し発電機により発生した電気エネルギーは例1の②式より
$$発生した電気エネルギー(J)=電力(W)×時間(秒)$$
$$=6V×0.5A×2秒=6J$$
したがって手回し発電機の変換効率は
$$変換効率(%)=\frac{目的に使われたエネルギー}{得たエネルギー}×100$$
$$=\frac{6J}{10J}×100=60%$$
となります。
3.白熱電球とLED電球
白熱電球やLED電球は電気エネルギーを光エネルギーに変換します。
しかしその変換効率は100%ではなく、一部が熱エネルギーにも変換されます。つまり、
電球にあたえた電気エネルギー=光エネルギー+熱エネルギー
となります。
白熱電球は、中のフィラメントと呼ばれる細い金属が発熱することで発光するため、高温になります。
その変換効率は10%ほどで、ほとんどが熱エネルギーとして放出されます。
一方のLED電球は、変換効率が30%ほど。白熱電球よりも変換効率が良いです。
このような照明器具の場合は、変換効率がよいほど同じ電力で多くの光が発生するので、エネルギーの有効活用となります。
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