このページでは2018年度の愛知県立入試の問題Aグループを解説しています。(理科のみ)
問題・模範解答はこちら↓↓
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大問1の解説
(1)
火成岩には火山岩・深成岩の2種類があります。
深成岩とは・・・
マグマが地下深くでゆっくり冷え固まってできた岩石です。
そのため↓の図のような等粒状組織をしています。
火山岩とは・・・
マグマが地表や地表付近で急激に冷え固まってできた岩石です。
そのため↓の図のような斑状組織をしています。
深成岩・火山岩は次のようにそれぞれ3種類あります。
深成岩 〔白色〕←花こう岩・閃緑岩・斑レイ岩→〔黒色〕
火山岩 〔白色〕←流紋岩 ・安山岩・玄武岩 →〔黒色〕
問題文中の【資料】より
岩石Aは白っぽく、等粒状組織をしているので、花こう岩と考えられます。
岩石Bは黒っぽく、斑状組織をしているので、玄武岩と考えられます。
岩石Cは「丸みを帯びた粒が集まっている」とあるので、火成岩ではなく、れき岩・砂岩・泥岩のいずれかです。
岩石Dは黒っぽく、等粒状組織をしているので、斑レイ岩と考えられます。
よって岩石Bはアの玄武岩・岩石Cはエの砂岩となります。
(2)
A~Fの金属の中には同じ種類のものがある、という問題です。
同じ種類のものどうしは密度が等しいはず。それぞれの密度を求めてみましょう。
※割り切れませんので分数のままにしておきます。
金属A
$$密度=\frac{質量}{体積}=\frac{8.0}{20.6-20.0}=\frac{40}{3}$$
金属B
$$密度=\frac{質量}{体積}=\frac{12.0}{23.6-20.0}=\frac{10}{3}$$
金属C
$$密度=\frac{質量}{体積}=\frac{19.0}{21.8-20.0}=\frac{95}{9}$$
金属D
$$密度=\frac{質量}{体積}=\frac{24.0}{21.8-20.0}=\frac{40}{3}$$
金属E
$$密度=\frac{質量}{体積}=\frac{38.0}{23.6-20.0}=\frac{95}{9}$$
金属F
$$密度=\frac{質量}{体積}=\frac{40.0}{23.0-20.0}=\frac{40}{3}$$
よって
金属A・D・Fは同じ種類
金属B・Eは同じ種類と分かります。
よって答えは3種類です。
大問2の解説
(1)
葉をあたためたエタノールにつけるのは
葉を脱色するため
です。
デンプンの有無は
ヨウ素液が青紫色になったかどうか
で判断をします。
(2)
対照実験に関する問題です。
対照実験とは条件の1つだけ異なるものどうしを比べる実験です。
例えば次のような例を考えましょう。
Aくんは気温30度・革靴をはくという条件で、50m走を10秒で走ることができます。
またAくんは気温30度・スニーカーという条件で、50m走を6秒で走ることができます。
このAくんの50m走のタイムがちがう原因は明らかに「革靴かスニーカーか」というところにあります。
このように条件が1つだけ異なることで、タイムが速くなった原因をはっきりさせることができます。
植物の対照実験でも同じ。
条件の1つだけ異なるものを比べることで、光合成に必要なものが判断できます。
Ⅰの空欄
気泡の発生(=光合成によって酸素が生じること)にオオカナダモが必要かどうかを確かめます。
aとdではオオカナダモの有無という点以外はすべて条件が同じです。
よってaでは気泡が発生し、dでは気泡が発生しなかった原因はオオカナダモであると考えることができます。
Ⅱの空欄
光合成に光が必要かどうかを確かめます。
aとcでは光の有無という点以外ではすべての条件が同じです。
よってaで気泡が発生し、cで発生しなかった原因は光であると考えることができます。
Ⅲの空欄
光合成に二酸化炭素が必要かどうかを確かめます。
二酸化炭素があるかないかはBTB溶液の色で判断できます。
BTB溶液が黄色→二酸化炭素あり
BTB溶液が青色→二酸化炭素なし
aとeではBTB溶液の色という点以外はすべての条件が同じ。
よってaで気泡が発生し、eで発生しなかった原因はBTB溶液の色のちがいであると考えることができます。
つまり二酸化炭素の有無が大きな原因と考えられます。
(4)
光合成には光が必要です。
光が当たれば光合成をしますし、当たらなければ光合成をすることはできません。
一方で呼吸はどのような条件でも行われます。
ヒトも、光が当たっていても、そうでなくても呼吸は行います。
光の有無は関係ありません。
大問3の解説
(1)
酸化の中でも熱や光のともなう激しい酸化を燃焼といいます。
燃焼する物質(酸化のときに熱や光を出す物質)は
マグネシウム・スチールウール・炭素・水素・有機物
などがあります。
よってこの問いはアが正解となります。
(4)
実験2の②では
銅とマグネシウムの混合物が1.50g
用意されています。
これを完全に酸化させると、表3より
$$22.25g-20.00g=2.25g$$
になったとわかります。
※ステンレス皿も含めた加熱後の質量が22.25g。ステンレス皿の質量が20.00gであるため。
このような「混合物の問題」では金属の量を文字でおき、方程式を立てましょう。
求めるマグネシウムの量をx(g)、銅の量をy(g)とします。
マグネシウム:酸化マグネシウム=3:5であるので
生じた酸化マグネシウムの量は
$$\frac{5}{3}x (g)$$
と表せます。
また銅:酸化銅=4:5であるので
生じた銅の量は
$$\frac{5}{4}y (g)$$
と表せます。
よって次のような連立方程式を立てることができます。
$$x+y=1.5$$
$$\frac{5}{3}x+\frac{5}{4}y=2.25$$
これを解いて
$$x=0.9 y=0.6$$
したがって
マグネシウムが0.9g 銅が0.6g
となります。
大問4の解説
(1)
仕事の量は
仕事(J)=力(N)×力の向きの動いた距離(m)
で求められます。
この問いでは6.0Nのおもりを20cm持ち上げようとしています。
定滑車を使っているので
モーターが引く力は6.0N、モーターが引く長さは20cm=0.2mです。
よって仕事の量は
$$仕事(J)=6.0N×0.2m=1.2J$$
となります。
(3)
空欄Ⅰ・空欄Ⅱ
実験2でも(1)と同じく
6.0Nのおもりを20cm持ち上げようとしています。
しかし動滑車を用いているので
モーターが引く力は3.0N、モーターが引く長さは0.4mです。
よってモーターのする仕事は
$$3.0N×0.4m=1.2J$$
となります。
POINT!!
動滑車を使った場合・・・
・糸を引く力はおもり(+動滑車)の1/2倍
・糸を引く長さはおもりを引き上げる距離の2倍
・仕事は動滑車を使わない場合と変わらない。
よってモーターが糸を引く力は実験1の0.5倍、モーターがおもりにした仕事は実験1の1倍です。
空欄Ⅲ
仕事率は
$$仕事率(W)=\frac{仕事(J)}{時間(秒)}$$
で求められます。
実験1では1.2Jの仕事をしていました。
その仕事にかかった時間は、図5より5.0秒間です。
よってその仕事率は
$$仕事率(W)=\frac{1.2J}{5.0秒}=0.24W$$
です。
実験2では1.2Jの仕事をしていました。
実験2で糸を引く速さは実験1と同じなので、仕事をするのに10秒かかっています。
※実験1では糸を20cm引くのに5秒かかっています。そして実験2では糸を40cm引いています。
そのため仕事率は
$$仕事率(W)=\frac{1.2J}{10.0秒}=0.12W$$
です。
よってモーターの仕事率は実験1の0.5倍です。
(4)
実験4では、はじめ「ばねAは伸びも縮みもしていない」ということが書かれています。
ここからモーターが動き始め、動滑車が持ち上がりますが、はじめはばねAがのびていくだけです。(↓の図)
ばねAにつるされているおもりは6.0Nなので、ばねAがのびきったとき
ばねAは2.0cmまでのびます(図6より)。
ここまででモーターは糸を
$$2.0cm×2×2=8cm$$
引いています。
※動滑車が2つあるので、モーターが引く長さは2倍×2倍=4倍。
図5よりモーターが糸を8cm引くのにかかる時間は2.0秒です。
ここまではばねが徐々にのびているだけで、おもりは持ち上がっていません。
ばねはこれ以上(2.0cm以上)のびないので、
この後、おもりが持ち上がっていきます。
おもりを20cm持ち上げるためにモーターは糸を
$$20cm×2×2=80cm$$
引かなければなりません。
※動滑車が2つあるので、モーターが引く長さは2倍×2倍=4倍。
図5よりモーターが糸を80cm引くのにかかる時間は20秒です。
まとめると
はじめの2秒間では、ばねが徐々にのびているだけで、おもりの高さは変わりません。
そこから20秒間で、おもりを20cmの高さに持ち上げます。
よってグラフは↓のようになります。
大問5の解説
(1)
乾球が20℃、湿球が15.5℃のとき
表1より湿度は60%です。
図1の10月1日で湿度が60%になっている時刻は9時です。
この問いではその9時間後を考えさせています。
つまり10月1日の18時です。
このとき図1より気温は19℃、湿度は85%とわかります。
よって乾球の示度は19℃です。
POINT!!
乾球の示度=気温 である。
表1より乾球が19℃、湿度が89%のとき
乾球と湿球の温度の差は1.5であることがわかります。
よって湿球は19-1.5=17.5℃とわかります。
(3)
湿度は
$$湿度(%)=\frac{実際の水蒸気量}{飽和水蒸気量}×100…式①$$
で求められます。
また
$$実際の水蒸気量=飽和水蒸気量×\frac{湿度}{100}…式②$$
とも式変形できます。
(こちらも重要な式!)
まずは飽和水蒸気量について。
図1より10月2日の18時の気温は18℃です。
表2より飽和水蒸気量は15.4g/m3です。
次に実際の水蒸気量を求める必要があります。
ヒントは「10月2日の12時から18時までの空気1m3中の水蒸気量は一定であった」という文章です。
10月2日の12時に注目しましょう。
図1より気温24℃、湿度40%です。
ここで式②を利用して
$$実際の水蒸気量=21.8×\frac{40}{100}=8.72g/m^3$$
よってこの問いで求めたい湿度は、式①を利用して
$$湿度=\frac{8.72}{15.4}×100=56.62…$$
となり、もっとも近いのはウの選択肢になります。
(4)
海岸沿いの地域では
・昼に海風(海から陸へ風が吹く)
・夜に陸風(陸から海へ風が吹く)
が観測されます。
図5で海風・陸風が吹いた場合の風向を求めてみます。
まずA地点。
昼は海から風が吹くので、その風向は西。
夜は陸から風が吹くので、その風向は東。
B地点。
昼は海から風が吹くので、その風向は北。
夜は陸から風が吹くので、その風向は南。
C地点。
昼は海から風が吹くので、その風向は北西。
夜は陸から風が吹くので、その風向は南東。
D地点。
昼は海から風が吹くので、その風向は南東。
夜は陸から風が吹くので、その風向は北西。
以上を図5に図示すると↓のようになってます。
図1より10月3日の昼ごろは南東からの風が、夜は北西からの風が見られるのでD地点の観測結果であると考えられます。
大問6の解説
(1)
発光ダイオードは一定方向の電流しか通さないという性質があります。
実験①の回路Bでは豆電球も発光ダイオードも点灯しています。
しかし実験②では電池の正負の向きを逆にするため、発光ダイオードはその電流を通さず、回路には電流が流れないことになります。
そのため実験②の回路Bの豆電球は点灯しません。
実験①の回路Cは並列回路です。
はじめは豆電球も発光ダイオードも点灯しています。
実験②で電池の政府の向きを逆にすると、発光ダイオードはその電流を通さないため、発光ダイオードは点灯しません。
しかし並列回路であるため、豆電球には電流が流れます。
また加わる電圧も回路Aと同じであるため、同じ明るさで点灯します。
(2)
生殖細胞をつくる細胞分裂を減数分裂といいます。
減数分裂によって生殖細胞に含まれる染色体数は、もとの体細胞の染色体数の半分になっています。
胚をつくる細胞1個の染色体数が24本ならば、精子(生殖細胞の一種)の染色体数は12本。
しかし胚がさらに細胞分裂しても(胚が行うのは体細胞分裂です!)、細胞1個の染色体数は変わりません(24本のまま)。
POINT!!
・体細胞分裂によって生じる体細胞の染色体数は、もとの体細胞と同じ。
・減数分裂によって生じる生殖細胞(精子・卵・精細胞・卵細胞)の染色体数は、体細胞の半分になっている。
・受精卵や胚が行う細胞分裂は体細胞分裂である。
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