中3物理【組み合わせ滑車】

このページでは「複数の滑車を組み合わせた装置を使った仕事」について解説しています。

基本的な滑車の考え方については→【滑車を使った仕事】←を参考にしてください。

そもそも「仕事とは何か」については→【仕事とは】←を参考にしてください。

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1.動滑車

■動滑車

固定されていない滑車。

→【滑車を使った仕事】←でも解説していることですが・・・

動滑車とは↓のような滑車です。

壁や天井などには固定されておらず、糸を引き上げることで物体ごと持ち上がります。(↓の図)

動滑車を使って物体を持ち上げる場合、

・手で引く力・・・・物体の重さの1/2倍

・手で引く距離・・・物体を持ち上げる高さの2倍

となっています。

手で引く力は1/2倍ですが、手で引く距離は2倍。

そのため、動滑車を使って行う仕事は、動滑車を使わない場合の仕事と同じになります。

これを仕事の原理といいます。

■仕事の原理

道具を使っても使わなくても仕事の量は変わらない。

2.組み合わせ滑車

複数の滑車を組み合わせてできた装置を組み合わせ滑車といいます。

さまざまな組み合わせ滑車があります。

その中でももっとも多い装置を次の例題で紹介します。

例題1

次のように滑車を組み合わせた装置がある。

これを用いて20Nの重さの物体を3m持ち上げたい。

ただし滑車の重さや糸の重さは考えないものとする。

(1)手で引く力は何Nか。

(2)手で糸を何m引けばよいか。

(3)手でする仕事は何Jか。


(答)

(1)

物体にはたらく重力は20N。

この物体が黄色の棒につるされています。

黄色の棒に20Nの力がはたらいているということです。(↓の図)

この黄色の棒は、2か所で支えられています。

20Nの赤色の力を2か所で支えているのです。

よってこの両端2か所には、それぞれ10Nの力がはたらいていることになります。(↓の図)

この10Nの力はそれぞれ2つの動滑車によって支えられています。

この10Nの力はさらに糸によって支えられます。(↓の図)

糸の一端は天井に、もう片方の端は手につづいています。

結果的に↓の図のように手と天井が5Nずつ負担していることになります。

よって手で引く力は5Nとなるのです。

(2)

(1)から、手で引く力は5Nとなりました。

これは引き上げたい物体の重さ(20N)の1/4倍です。

ここで仕事の原理を考えると、滑車をどう組み合わせようが仕事の量は変わらないはずです。

つまり手で引く力が1/4倍になったのであれば、手で糸を引く距離は4倍になるはずです。

すなわち

手で糸を引く距離=3m×4=12m

となり、糸を12m引かなければならないことがわかります。

(3)

仕事は次のように求められます。

仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)

よってこの問いの場合は

手で引いた力=5N

手で引いた距離=12m

であるので

仕事=5N×12m=60J

60Jの仕事をしたことになります。


※(3)の別解

仕事とは、どれだけその物体のエネルギーを変化させたかを表します。

仕事(J)=エネルギーの変化量

この問いでは滑車を使って物体を持ち上げています。

物体が持ち上がるということは、物体の位置エネルギーが増加するということ。

※位置エネルギーは次の式で求められます。

→ 位置エネルギー(J)=重さ×高さ(m)

20Nの物体を3m持ち上げているので

位置エネルギー=20N×3m=60J

となり、物体の位置エネルギーが60J大きくなります。

よって

仕事=エネルギーの変化量=60J

と求めることもできます。

2.組み合わせ滑車の問題のコツ

すべての組み合わせ滑車の問題に通用するわけではないですが、楽に解くコツがあります。

・まず動滑車がいくつあるかを数えます。

・手で引く力は、動滑車の数だけ1/2倍します。

・手で糸を引く距離は、動滑車の数だけ2倍します。

例題1では動滑車が2個なので

物体の重さが20Nであるのに対して

手で引く力=20N×1/2×1/2=5N

手で引く距離=3m×2×2=12m

とするわけです。

すべての問題に通用するわけではないですが、もし判断に迷う場合はこのように解いてしまうのも1つの手です。

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