中1地学【地震の波の伝わり】

このページでは地震の計算の土台となる「P波やS波の速さの考え方」「初期微動継続時間と震源距離の関係」などをグラフを例にして説明しています。

地震によって起こる現象や起こり方については→【地震の起こり方とゆれ】←を参考に。

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1.地震の波

■地震のゆれ

地震のゆれには2種類ある。

初期微動・・・はじめに起こる小さなゆれのこと。

主要動・・・・初期微動の次に起こる大きなゆれのこと。

 

■地震波

初期微動を伝える波と主要動を伝える波の2種類がある。

P波・・・初期微動を起こす。はやい。縦波。

S波・・・主要動を起こす。おそい。横波。

※波・・・振動を次々に伝える現象のこと。

 

地震のゆれを伝えるものであるP波とS波。

P波とS波は地震発生と同時に震源を出発します。

 

観測地点にP波が到着すると初期微動が起こります。

そして遅れてS波が到着します。すると主要動が起こります。

 

ここではP波とS波の伝わり方を、次の例を通してみてみましょう。

 

↓の図のような位置関係にあるA地点とB地点で地震の観測を行いました。

 

 

それぞれの地点での初期微動と主要動が起こった時刻をまとめると↓の表のようになりました。

 

 

ではこれを↓のグラフ用紙に書き直してみます。

 

 

まずそれぞれのゆれが起こった時刻に点を打ちます。(↓の図)

 

 

さらに初期微動と主要動のようすも大まかに書いてみます。(↓の図)

 

 

B地点の方が、初期微動が続いている時間が長いことがわかります。

 

次に初期微動のはじまりを直線で結びます。(↓の図)

 

 

この青色のグラフは「P波の進み方」を表します。

P波の進んだ時間と、進んだ距離との関係を表すグラフです。

 

同じように主要動のはじまりを直線で結びます。(↓の図)

 

 

この緑色のグラフは「S波の進み方」を表します。

S波の進んだ時間と、進んだ距離との関係を表すグラフです。

 

ここまでで↓のようなグラフが書けました。

 

このグラフからは次のことがらを読み取ることができます。

① 地震の発生時刻

② P波やS波の進む速さ

③ 初期微動継続時間

の3つです。

 

1つ1つ見ていきましょう。

 

①地震の発生時刻

地震が発生すると同時に、震源からP波やS波が出発します。

 

すなわち↓のグラフの赤色の点は、地震発生時刻を表します。

 

 

したがってこの地震の地震発生時刻は

17時10分30秒

であるとわかります。

 

②P波やS波の進む速さ

速さを求める場合は

速さ=距離÷時間

です。

 

算数や数学でやっている速さと同じ求め方です、

よってグラフから「距離」「時間」を読み取ります。

 

P波の場合、↓の2点を読み取ってみましょう。

 

 

P波は120kmを15秒で進んでいます。

または↓の2点読み取っても求めることができます。

 

 

よってP波の速さは

120km÷15秒=8km/秒(または240km÷30秒=8km/秒)

となります。

 

S波の場合も、グラフの2点を読み取ってみましょう。

↓の2点を読み取ります。

 

 

S波は120kmを40秒で進んでいます。

または↓の2点を読み取っても構いません。

 

 

したがってS波の速さは

120km÷40秒=3km/秒(または240km÷80秒=3km/秒)

 

POINT!!

P波やS波の速さは

2点間の距離の差と2点の到着時刻の差

を読み取って計算する。

 

③初期微動継続時間

初期微動継続時間とは初期微動の続く時間です。

言い換えるとP波が到着してからS波が到着するまでです。

↓のグラフでいうと、黄色の矢印の部分です。

 

 

よって

A地点(震源から120km)での初期微動継続時間は25秒

B地点(震源から360km)での初期微動継続時間は75秒

となります。

 

A地点とB地点の震源距離を比べると

360km÷120km=3倍

となっています。

 

また初期微動継続時間は

75秒÷25秒=3倍

となっています。

 

このことから震源からの距離と初期微動継続時間は比例することがわかります。

言い換えると

震源からの距離が長い(震源から遠い)・・・初期微動継続時間も長い

震源からの距離が短い(震源に近い)・・・・初期微動継続時間も短い

となります。

これは重要な事柄なのでぜひ覚えておきましょう。

 

POINT!!

初期微動継続時間は震源距離に比例する

→ 初期微動継続時間:震源距離=一定の比となる

 

震源から遠い・・・初期微動継続時間は長い

震源から近い・・・初期微動継続時間は短い

 

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コメント(承認された場合のみ表示されます)

  1. すいません、二点誤りと思われる個所があります。

    S波の進む速さの計算において、グラフ中では120kmを40秒で進んだとあるのに、
    その次の計算式ではなぜか120km÷30秒となっていて、
    速さの値が異なったものとなっています。もう片方の240km÷80秒の計算結果と違うため、
    その点でも間違いになってしまうと思います。

    また、震源からの距離と初期微動継続時間の関係性について、
    Pointでは正しく述べられているのですが、その上で同様に説明している部分では、
    ・震源からの距離が長い(震源に近い)・・・初期微動継続時間も長い
    ・震源からの距離が短い(震源から遠い)・・・初期微動継続時間も短い
    と書いています。これは()の中の内容が逆ではないでしょうか。

    • 惇君様
      コメントありがとうございます。
      おっしゃる通りです。記載が誤っておりましたので修正いたしました。
      ご指摘ありがとうございました。

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