このページでは「モーターとはどのような仕組み・原理で動くのか」「整流子やブラシの役割は?」といったことを解説しています。
フレミング左手の法則を押さえたうえで読んでみましょう。
(→【電流が磁界から受ける力】←を参考に。)
動画による解説は↓↓↓↓
1.モーターの構造
■モーター
電流が磁界から受ける力を利用して歯車や車輪などを回転させる器具。
扇風機などの回転する道具を想像するとわかりやすいかも。
軸を中心に回転できるようにコイルと整流子と呼ばれる部分がつながっています。
モーターの全体の構造は↓のようになっています。
両端に磁石・コイルABCD&整流子・ブラシ。
コイルは流れる電流が磁界から力を受けることによって回転します。
2.モーターの仕組み
ではさきほどの図でモーターの回転のしくみ(原理)を考えます。
少しでもわかりやすくするために整流子の色を黄色と青色に塗り分けます。
電流を流し始めると・・・(↓の図)
コイルの部分には
A⇒B⇒C⇒Dの向きに電流が流れます。
ここでABの部分だけに注目します。
また両端の磁石からはN極からS極へ入る向きに磁界が生じます。
コイルのABの部分は↓の図のように力を受けます。
(フレミング左手の法則を利用)
同じようにコイルのCDの部分を考えましょう。
C⇒Dに流れる電流と右向きの磁界によって↓の図のように力を受けます。
(フレミング左手の法則を利用)
AB部分には下向きの力、CD部分には上向きの力がはたらきます。
よってコイルABCDは軸を中心に時計回りに回転することになります。(↓の図)
90度回転したときが↓の図です。
整流子とブラシの部分を正面から見てみましょう。
ちょうどブラシには整流子のすき間部分がやってきています。
ブラシと整流子が接していないのです。
この一瞬だけ電流が流れていないことになります。
しかし勢いでそのまま回転しコイルABCDが反転。
↓の図の状態になります。
よく見てください。
コイルの向きや整流子(黄色と青色)がさっきまでと反対ですよね。
今度はコイルの部分にはD⇒C⇒B⇒Aの向きに電流が流れます。(↓の図)
両端の磁石からはN極からS極へ入る向きに磁界が生じます。(↓の図)
先ほどと同じで、
電流と磁界によって力が発生するので
CD部分、AB部分でフレミング左手の法則を考えてみると↓の図のように力がはたらきますね。
上の図のように
CD部分には下向きの力、AB部分には上向きの力がはたらきます。
またもコイルABCDは軸を中心に時計回りに回転することになります。
90度回転したとき先ほどと同じ。
コイルに電流が流れない瞬間が来ます。
ですが勢いではじめの図の状態に戻ります。
これを何度も繰り返し回転し続けるのです。
ここで整流子とブラシは大きな役割を担っているのがわかりますか?
もし整流子とブラシがなければ…?
↓の図を見てください。
コイルの部分にはA⇒B⇒C⇒Dの向きに電流が流れます。
両端の磁石からはN極からS極へ入る向きに磁界が生じます。
よってCD部分には上向きの力、AB部分には下向きの力がはたらきます。
(フレミング左手の法則を利用)
コイルは軸を中心に時計回りに回転します。
↓の図に注目。
今度はコイルの部分にはA⇒B⇒C⇒Dの向きに電流が流れます。
両端の磁石からはN極からS極へ入る向きに磁界が生じます。
よってAB部分には下向きの力、CD部分には上向きの力がはたらきます。
先ほどとは反対向きの力です。
ということはコイルは軸を中心に反時計回りに回転します。
あれ?
回転の向きがさっきと反対ですね。
整流子とブラシがなければコイルは
時計回りに180度回転 ⇒ 反時計回りに180度回転 ⇒ 時計回りに180度回転 ⇒ 反時計回りに180度回転 ⇒ ・・・・・・
をひたすら繰り返します。
180度回転ごとに回転の向きが反対になるのです。
こんな扇風機があったら困りますよね。
モーターとして正しく機能していません。
その原因はコイルに流れる電流が常にA⇒B⇒C⇒Dの向きだからです。
本来のモーターでは180度回転ごとにコイルに流れる電流の向きがA⇒B⇒C⇒DからD⇒C⇒B⇒Aに変わっています。
つまり整流子とブラシは180度回転ごとに、コイルに流れる電流の向きをA⇒B⇒C⇒DからD⇒C⇒B⇒Aに変えているのです。
POINT!!
・モーターは電流が磁界から受ける力を利用している。その原理を理解しよう。
・90度回転ごとに電流が流れない瞬間が来る。
・整流子とブラシは180度回転ごとにコイルに流れる電流の向きを反対にしている。
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とても分かりやすかったです!!
明日のテスト頑張ります!!!
中3さん。
コメントありがとうございます。
テストがんばってくださいね。
エナメル線を巻いたコイルでモーターを作るとき、上のような仕組みでは、半分が余力で回っています。
では、ずっと電流を流して、余力ではなく全部モーターの力(うまく説明できなくてごめんなさい)で回すにはどうすればいいですか?
ずっとコイルが導線部分と触れていればいいですか?
また、磁力を変える&コイルの巻き数を増やす以外でその力を強くできますか?
をををさん
コメントありがとうございます。
エナメル線を巻いたモーターというのは↓のようなものでしょうか??
(http://www.tamabi.ac.jp/idd/shiro/magnet/coil/denki/denki.htmlより引用)
この場合は、確かに半分が余力で回ってしまいます。
エナメルを全部はがしても、コイルは半回転ごとに反対向きに回転してしまいます。
(本文内で、整流子とブラシがないときの例を説明していますが、それと同じ理屈です。コイルに同じ向きの電流が流れ続けるのです。)
必ず、電流が流れない瞬間をつくらなければいけないのです。
整流子とブラシという仕組みをつかわないならば、エナメル線を半分はがさずに置いておいて、電流を流れないようにするしかありません。
この力を強くしたければ、電流を大きくするという方法が考えられます。
好奇心旺盛の我ら5年生にもとてもわかりやすかったでござる。
コメントありがとうございます。
お役に立てて何よりです。
理科を楽しんでくださいね。
とても分かりやすくて驚きました!!
学校の授業で理解できなくて困っていたのですが
さっと頭に入ってきました!
感激しております…
義務教育受けています様
コメントありがとうございます。
そうおっしゃっていただけて何よりです。
また良ければご覧ください。
わかりやすい記事をありがとうございます
Yumi様
コメントありがとうございます。
理解してもらえたならとてもうれしいです。
また機会がありましたらご覧ください。
整流子があっても整流子の間の隙間がなくても時計回りと反時計回りを繰り返すのですか?
ただの中学生様
コメントありがとうございます。
隙間がなければ、コイルの部分と整流子の部分の並列回路のような形状になります。
その場合は時計回りと反時計回りを繰り返すことになるかと思います。
三極モーターについて説明していただけませんか
中一でぇす様
コメントありがとうございます。
三極モーターのどの部分がわかりませんか?
一言でまとめたら何て言えばいいですか??
みにゃ様
コメントありがとうございます。
一言でまとめるのは難しいですね。
どうしても文章が長くなります。
モーターは電流が磁界から受ける力を利用している、のが大まかな原理でしょうか。
2020北海道公立高校入試理科の大問4の問2⑶のクリップモーターの両端を全て削るとどうなるか、という問題で正答に4分の1回転して止まると書いてありました。
両端を削る状態は整流子とブラシがない状態と同じ状態だと思い、2分の1回転だと思ったんですけど、2分の1回転じゃない理由を教えていただきたいです。
ゴリラゴリラゴリラ様
コメントありがとうございます。
すみません、手元に問題がなくて・・・
どのような問題かわかりますか?