このページでは2018年度の東京都立入試の問題を解説しています。(理科のみ)
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大問1の解説
問1
受精卵や胚が行う細胞分裂は体細胞分裂。
体細胞分裂では1個の細胞あたりの染色体の本数は変化しません。
よって答えは22本です。
この問いでは「胚全体の染色体の本数」を聞かれているのではなく、「胚の中の細胞1個あたりに含まれる染色体の本数」を聞かれていることに注意。
問2
日が経つにつれて
黒点が動く・・・・・太陽が自転している証拠
黒点の形が変化・・・太陽が球形をしている証拠
黒点の数が変化・・・太陽の活動が変動している証拠
です。
問3
凸レンズでは
①物体の位置が焦点距離の2倍
→実像の位置も焦点距離の2倍・物体と同じ大きさの実像
②物体の位置が焦点距離の2倍より遠い
→実像の位置は焦点距離の2倍より近い・物体より小さい実像
③物体の位置が焦点距離の2倍より近い
→実像の位置は焦点距離の2倍より遠い・物体より大きい実像
というように実像の大きさが変化します。
問4
この実験では
・60℃の水100gにミョウバンを50g溶かした
・その水溶液を20℃まで冷やした
という実験をしています。
表から
20℃の水100gにはミョウバンが11.4gまで溶ける
ことがわかるので
50g-11.4g=38.6g
が溶け残り、結晶となります。
問5
記録テープと問題文から
AB間の長さは5cm
AB間の打点は5打点→つまり0.1秒
(打点どうしの間隔の数を数えよう)
よって平均の速さは
5cm÷0.1秒=50cm/s=0.5m/s
です。
この問いでは平均の速さの単位が[cm/s]ではなく[m/s]で問われていることに注意しましょう。
問6
炭酸水素ナトリウムを加熱すると
炭酸ナトリウム・水・二酸化炭素
が発生します。
この水が加熱部に流れてしまうと試験管が割れる恐れがあります。
よって試験管の口を下げて加熱しなければなりません。
大問2の解説
問1
仕事とはエネルギーの変化量を表します。
この場合、麓(ふもと)の駅から山頂の駅まで仕事をします。
どのようなエネルギーが変化するのでしょう。
麓と山頂では450mの標高差があると書かれています。
麓から山頂までで変化するのは位置エネルギーということになります。
麓から山頂までを、徒歩で行こうがケーブルカーで行こうが増加する位置エネルギーの量は変わりません。
(どちらも50N×450m=22500Jの位置エネルギーの増加)
よって麓から山頂までの仕事は、徒歩の場合もケーブルカーの場合も同じです。
これを仕事の原理といいます。
(道具をつかってもつかわなくても仕事の量は変わらないこと)
一方で仕事率とは次で求められます。
仕事率(W)=仕事の量(J)/時間(s)
つまり仕事にかかる時間が短いほど仕事率は大きいことになります。
徒歩よりもケーブルカーの方が仕事をしている時間は短くてすみますね。
(ケーブルカーの方がはやく山頂にたどり着くので)
よってケーブルカーの方が仕事率が大きいのです。
問4
キノコやカビは菌類と呼ばれ、胞子でなかまをふやします。
からだは菌糸でできています。
生物の死がいや落ち葉、フンなどの有機物を無機物に分解するため、分解者と呼ばれます。
大問3の解説
問1
<結果2>の(1)の文中の
「濃い緑色で柱状の鉱物や白色で平らな面がある鉱物」と書いてあります。
ここから火成岩であることがわかります。
※濃い緑色で柱状の鉱物・・・角閃石か輝石
※白色で平らな面がある鉱物・・・長石
火成岩は、含まれる鉱物が異なるともとのマグマの粘り気も異なります。
そのマグマによってできる火山の形も異なるわけです。
よってエが正解になります。
問2
石灰岩とチャートの比較はよく出題されます。
石灰岩は・・・
サンゴやフズリナの死がいが押し固められてできた。
塩酸を加えると二酸化炭素の泡を出して溶ける。
チャートは・・・
ホウサンチュウなどの死がいが押し固められてできた。
塩酸とは反応しない。とても固い。
問3
ここに出題されている生物はすべて示準化石の代表的なものです。
覚えておきましょう。
ビカリア・・・・・新生代
アンモナイト・・・中生代
サンヨウチュウ・・古生代
フズリナ・・・・・古生代
問4
まずAかBかを選びます。
<結果1>の(3)の文より
地層④と地層⑤はともに傾いていることがわかります。
つまり
地層⑤の堆積→地層④の堆積→④⑤が傾いた
という流れであることがわかります。
よってAが正解。
(⑤の堆積→⑤が傾いた→④の堆積という流れでは④が傾いていないはずです)
次にCかDかを選びます。
れきは海岸に近い浅い海に堆積します。
また泥は海岸から遠い深い海に堆積します。(↓の図)
つまりアが正解の選択肢です。
大問4
問1
ツユクサは単子葉類にあたります。
もし忘れても問題中の図で、葉に平行脈が見られることから単子葉類と判断できます。
一方で
タンポポは双子葉類・トウモロコシは単子葉類です。
よって正解はエとなります。
問2
ここでDとAを比べることで・・・
葉の表の蒸散量が
2.0-0.4=0.6g
BとAを比べることで
葉の裏の蒸散量が
2.0-0.9=1.1g
よって正解はウとなります。
問3
<仮説>の文中に
「ツユクサEには葉の表側と裏側及び茎にワセリンを塗り」
とあります。
つまりツユクサEは光合成も呼吸もできないことになります。
ツユクサEの入った袋の気体の量は変化しないと考えられます。
大問5の解説
問3
「化学エネルギーが電気エネルギーに変換される」のは燃料電池のこと。
化学反応式は 2H2 +O2 → 2H2O です。
※「電気エネルギーが化学エネルギーに変換される」のは水の電気分解のこと。
化学反応式は 2H2O → 2H2 + O2 です。
大問6の解説
問1
磁界の向きは方位磁針のN極の指す向きに等しいです。
図2の方位磁針のN極の向きに注目しましょう。
これと同様の磁界が発生しているのはアです。
問2
金属棒をよりはやく動かしたい、ということは金属棒に電流をたくさん流したいということ。
電流をたくさん流すには、回路全体の抵抗を小さくします。
回路全体の抵抗を小さくするには、抵抗器を並列につなぎます。
次の性質を押さえておきましょう。
抵抗器を並列につなぐ→合成抵抗は小さくなる→電流は大きくなる
抵抗器を直列につなぐ→合成抵抗は大きくなる→電流は小さくなる
問4
この問いでは電磁誘導について問われています。
電磁誘導とは・・・
コイルのそばで磁界が変化して、コイルに電流が流れ出す現象のこと。
電磁誘導が起こるときにはルールがあります。
電磁誘導が起こるときのルール(レンツの法則)
コイルは磁界の変化をさまたげようとする(じゃまする)。
<結果3>に書かれている表に注目しましょう。
↓のように棒磁石の上面をN極にして、コイルを点Gから点Hまで動かしたとき・・・
コイルの下側にN極が近づきます。(↓の図)
コイルはその変化をじゃましようとします。(↓の図)
つまりコイルの下側にN極、上側にS極を発生させ、コイルは磁石となるのです。
このとき誘導電流が流れることで、コイルは磁石となるのです。(↓の図)
この誘導電流を検知して、検流計の針は右に振れます。
↓のように棒磁石の上面をN極にして、コイルを点Hから点Gまで動かしたとき・・・
コイルの下側からN極が遠ざかります。(↓の図)
コイルはその変化をじゃましようとします。(↓の図)
つまりコイルの下側にS極、上側にN極を発生させ、コイルは磁石となるのです。
先ほどとはコイルがつくる磁界の向きが逆です。
そのため誘導電流も反対向きで、検流計の針は左にふれるのです。
ではこのこの問いでは・・・
<実験3>の(4)のあと、コイルを点Iから点Jまで動かしたときのことを考えています。
コイルの上側からN極が遠ざかっていくことになります。(↓の図)
コイルはその変化をじゃまします。(↓の図)
つまりコイルの上側にS極、上側にN極を発生させ、コイルは磁石となるのです。
コイルがこのような磁界をつくるとき、検流計の針は右に振れましたね。
よって答えはウとなるのです。
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