このページでは「位置エネルギーとは」「運動エネルギーとは」「位置エネルギー・運動エネルギーの求め方」「力学的エネルギーの保存(保存の法則)」について解説しています。
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1.エネルギーとは
エネルギーとは何か。これはとてもとても難しい話です。
以下の点だけを押さえておこう。
エネルギーを持っている物体は
・ほかの物体を動かすことができる。
・ほかの物体を変形させることができる。
・ほかの物体を壊すことができる。
このような状態にある物体を「エネルギーを持っている」と言います。
エネルギーの単位は【J】(ジュール)。
2.位置エネルギー
高いところにある物体がもつエネルギー。
■位置エネルギーの求め方
$$位置エネルギー(J)=重さ(N)×高さ(m)$$
たとえば高いところに鉄球があって、その下には車があったとしましょう。
この鉄球を落下させると、当然の下の車は破壊されます。
つまり車を破壊できるので鉄球はエネルギーを持っています。
正しく言うと高いところにある鉄球はエネルギーを持っているわけです。
ではこの鉄球の破壊力を大きくするには?
・より重い鉄球に変えること。
・重さを変えずともより高い位置から落としてやればいい。
つまり、この鉄球の持つエネルギーは「重さ」と「高さ」によって変化するわけです。
「高さ=位置」によって決まるエネルギーなので、これを位置エネルギーと言います。
位置エネルギーは重さに比例し、高さにも比例します。
よって次の式で求められます。
$$位置エネルギー(J)=重さ(N)×高さ(m)$$
こちらの式は必ず覚えておきましょう。
3.運動エネルギー
動いている物体が持つエネルギー。
質量に比例・速さの2乗に比例する。
鉄球をボーリングのように転がして車にぶつけることを考えてみましょう。
鉄球がぶつかると車は破壊・変形されます。
つまり動いている鉄球というのはそれだけでエネルギーを持っているということ。
ではこの場合の鉄球の破壊力を大きくするには…
・より質量の大きな鉄球でぶつけること。
・質量は変えず、思いっきり勢いをつけてぶつける。
⇒ つまり、速さを大きくしてぶつけるということ。
このように動いている鉄球の持つエネルギーは「質量」と「速さ」によって変化します。
「速さ=その物体の動き」によって決まるエネルギーなので、これを運動エネルギーと言います。
運動エネルギーは質量に比例・速さの2乗に比例します。
※運動エネルギーにも公式があります。
ただし高校入試ではあまり使うことはありません。余裕があれば覚えておきましょう。
$$運動エネルギー(J)=\frac{1}{2}×質量(kg)×速さ(m/s)×速さ(m/s)$$
4.力学的エネルギー保存の法則
力学的エネルギー=位置エネルギー+運動エネルギー
※つまり位置エネルギーと運動エネルギーの和を力学的エネルギーといいます。
外部から力を受けない限り力学的エネルギーは一定であるということ。
※外部からの力・・・摩擦力や空気抵抗など。
力学的エネルギーは位置エネルギーと運動エネルギーの和です。
この力学的エネルギーは運動の最中、常に一定になります。
※ただし運動のようすを変えるような力・・・「摩擦力」「空気抵抗」がはたらいていなければという条件付き。
このきまりを力学的エネルギーの保存、または力学的エネルギー保存の法則と言います。
力学的エネルギーの保存の使い方
↓の図のようなコースを質量2kgの物体が進んでいくとしましょう。
ここでは摩擦や空気抵抗は考えないものとします。
10mの高さから、2kgの小球を静かに手を離しすべらせます。
ここからA点・B点・C点を通過したときのエネルギーを考えます。
①スタート地点
高さは10mです。
ここで位置エネルギーの公式を使うと
スタート地点の位置エネルギー=20N×10m=200J
とわかります。(↓の図)
ここでは手を放した瞬間なので、速さはゼロです。
つまり
運動エネルギー=0J
です。
よって
力学的エネルギー=位置エネルギー+運動エネルギー=200J
とわかります。(↓の図)
この後、力学的エネルギーの保存という決まりによって力学的エネルギーは200Jのまま保存されます。(変化しない)
②A点を通過した瞬間
A点は6mの高さなので
位置エネルギーの公式を使うと
A点での位置エネルギー=20N×6m=120J
となります。(↓の図)
ここで、力学的エネルギーは200Jのまま保存されていました。
よって
運動エネルギー=200J-120J=80J
となります。(↓の図)
③B点を通過した瞬間
B点は高さ2mなので
B点での位置エネルギー=20N×2m=40J
です。(↓の図)
ここでも力学的エネルギーは200Jです。(力学的エネルギーの保存)
よって
運動エネルギー=200J-40J=160J
となります。(↓の図)
A点通過時に比べると2倍の運動エネルギーを持っています。
つまりA点通過時より速さが大きいことがわかりますね。
④C点を通過した瞬間
C点は高さ0m。
よって
C点での位置エネルギー=0J
です。
ここで力学的エネルギーは200Jです。(力学的エネルギーの保存)
ということは
運動エネルギー=200J
となります。(↓の図)
つまりC点でもっとも運動エネルギーが大きい=速さが大きいことになりますね。
このように力学的エネルギーが保存される場合は
運動エネルギーは、力学的エネルギーと位置エネルギーの差
として求めることができます。
また高さが低いところほど運動エネルギーが大きく、速さも大きいことになります。
グラフで見てみましょう。
位置エネルギーは次のように変化していました。
一方で運動エネルギーは↓のようなグラフになります。
また力学的エネルギーは保存されているので↓のような一定のグラフになります。
この3つを1つのグラフにまとめましょう。(↓の図)
このように力学的エネルギーが保存されるならば、
・低いところほど運動エネルギーは大きい(=速い)
・位置エネルギーが増えると運動エネルギーは減る
・位置エネルギーが減ると運動エネルギーは増える
・つまり位置エネルギーと運動エネルギーは逆の変化をする
ということになります。
POINT!!
・位置エネルギーの公式(位置エネルギー=重さ(N)×高さ(m))は必ず覚えよう!
・運動エネルギーは「力学的エネルギーと位置エネルギーの差」で求める。
・図中にエネルギーを図示してみると解きやすい。
コメント(承認された場合のみ表示されます)
どれもイメージし難いものだったのですが、わかりやすい構成と説明で簡単に理解することが出来ました!
やかしん様
コメントありがとうございます。
お役に立てれば幸いです。また機会がありましたらぜひご覧ください。
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