このページでは2018年度の神奈川県立入試共通選抜の問題を解説しています。(理科のみ)
問題・模範解答はこちら↓↓
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f160600/p1216051.html
大問1の解説
(ア)
音さBは音さAと同じ高さの音を出す、という文章がヒント。
音さAと同じ振動数のものを選べばよいので、答えは2の選択肢となります。
(イ)
A~Cではボールを投げる方向は違いますが、与えられた速さは同じ。
つまりボールが手を離れる時点での運動エネルギーは同じ。
またA~Cは同じ高さからボールを投げているので位置エネルギーも同じ。
すなわちA~Cは、手を離れる時点ですべて同じ力学的エネルギーをもっています。
ということは地面にぶつかる直前の運動エネルギーも等しくなります。
よって地面にぶつかる直前の速さも等しいのです。
よって6が正解。
※A~Cで異なるのは地面に着くまでの時間です。
(ウ)
大問2の解説
(ア)
各選択肢を見ましょう。
2→原子の質量は化学変化によって変化しません。
3→空気は化合物ではなく、混合物に分類されます。
4→塩化ナトリウムは単体ではなく、化合物に分類されます。
よって1の選択肢のみが正解です。
(イ)
文章中にある「反応後の試験管に残った物質」は銀のこと。
①銀は金属なので光沢があります。
②「酸化銀の質量」と「銀の質量+酸素の質量」が等しいはずなので誤りです。
③④この反応は 2Ag2O → 4Ag + O2 で表されます。よって④は誤りです。
(ウ)
密度は
$$密度=\frac{質量}{体積}$$
で求められます。
問題文よりこの金属の質量は53.7g。
また図よりこの金属の体積は
$$36cm^3-30cm^3=6cm^3$$
です。
よって密度は
$$密度=\frac{53.7}{6}=8.95g/cm^3$$
となり、この金属が銅であるとわかります。
大問3の解説
(イ)
まずイカのa~eの各部分の名前は次の通り。
a→肝臓 ※ヒトでは栄養を蓄える、という文から判断しよう
b→えら ※覚えておこう
c→あし ※覚えておこう
d→外とう膜 ※覚えておこう
e→胃 ※わからなくてOK
この選択肢は消去法で選ぶのが良いでしょう。
(ウ)
親Xと親Yの減数分裂と受精の様子を図で表すと↓のようになります。
大問4の解説
(ア)
地震計のばねや針、記録用紙、台の部分は地震の揺れに応じて動きます。
ですがおもりの部分は動きません。(慣性という性質です)
(イ)
土砂は次のように分類されます。
れき・・・直径が2mm以上
砂・・・・直径が2mm~約0.06mmの間
泥・・・・直径が約0.06mm以下
また石灰岩とチャートのちがいを覚えておきましょう。
石灰岩は・・・
サンゴやフズリナの死がいが押し固められてできた。
塩酸を加えると二酸化炭素の泡を出して溶ける。
チャートは・・・
ホウサンチュウなどの死がいが押し固められてできた。
塩酸とは反応しない。とても固い。
(ウ)
日の出・日の入りの位置はどこで観測しても変わることはありません。
春分(3月)・秋分(9月)では・・・
日の出の位置 →真東
日の入りの位置→真西
夏至(6月)では・・・
日の出の位置 →真東より北より
日の入りの位置→真西より北より
冬至(12月)では・・・
日の出の位置 →真東より南より
日の入りの位置→真西より南より
しかし南中高度は場所によって変化します。
たとえば春分の南中高度は
$$南中高度=90度-緯度$$
で求めます。
つまり緯度が小さい地域ほど南中高度は高くなります。(↓の図参考)
いま神奈川と沖縄で南中高度を比べています。
神奈川と沖縄では、沖縄の方が緯度が小さいですね。
よって沖縄の方が南中高度は低くなります。
大問5の解説
(ア)
オームの法則より
$$抵抗=\frac{電圧(V)}{電流(A)}=\frac{2.0V}{1.0A}=2Ω$$
(イ)
問題文の意味をしっかり理解しましょう。
電熱線Bで水を温める。
電熱線Cでも水を温める。
同じ温度だけ温めるとき、Cを使った時かかる時間はBを使ったときの何倍?
ということです。
電熱線Bでは30秒(横軸30秒 縦軸2.0℃のところ)
電熱線Cでは50秒(横軸50秒 縦軸2.0℃のところ)
かかることがわかります。
よって
$$50秒÷30秒=1.666…≒1.7倍$$
となります。
(ウ)
こちらも問題文の意味をしっかり理解。
ここで行った実験は
・電熱線A・B・Cのうちどれか2つを使って
・実験2と同じ電圧を加えて
・電流を150秒流すと水温が20℃→45℃まで上昇した
・つまり25℃上昇した
というものです。
またグラフ2より
電熱線A → 20秒で水温2℃上昇
電熱線B → 30秒で水温2℃上昇
電熱線C → 50秒で水温2℃上昇
していることがわかります。
では150秒あたりでは
電熱線A → 150秒で水温15℃上昇
電熱線B → 150秒で水温10℃上昇
電熱線C → 150秒で水温6℃上昇
することになります。
よって電熱線Aと電熱線Bを並列につなげば
電熱線Aによって15℃上昇+電熱線Bによって10℃上昇し、合計25℃上昇します。
※電熱線Aと電熱線Bを直列につなぐ、ではありません。
AとBを直列につなぐと、A・Bそれぞれに加わる電圧は実験2のときよりも小さくなってしまいます。
(電源電圧をA・Bで分け合うことになる)
そのため電力が小さくなり、Aで15℃・Bで10℃上昇させることができません。
※別の解き方
この問題で電熱線A~Cのうち2つをつないだものをDとしましょう。
150秒あたりで、同じ電圧を加えたとき
電熱線A → 150秒で水温15℃上昇
電熱線B → 150秒で水温10℃上昇
電熱線C → 150秒で水温6℃上昇
回路D → 150秒で水温25℃上昇
ですから
発生した熱量の比が
$$A:B:C:D=15:10:6:25$$
すべて同じ時間だけ電流を流しているので
消費した電力の比が
$$A:B:C:D=15:10:6:25$$
(熱量(J)=電力(W)×時間(秒)でしたよね)
すべて同じ電圧を加えているので
流れた電流の比が
$$A:B:C:D=15:10:6:25$$
(電力(W)=電圧(V)×電流(A)でしたよね)
すべて同じ電圧を加えているとき
流れる電流の比=抵抗の逆比
でした。
※→【抵抗の比と電圧・電流】←を参考に。
よってA・B・C・Dの抵抗の比は
$$A:B:C:D=\frac{1}{15}:\frac{1}{10}:\frac{1}{6}:\frac{1}{25}=10:15:25:6$$
となります。
(ア)よりAが20Ωと求めているので
Bは30Ω・Cは50Ωと求められます。
DはA~Cのうちどれか2つの合成抵抗ですが12Ωです。
よって合成抵抗が12Ωになる組み合わせは、AとBの並列つなぎとなります。
(エ)
とにかく実験2は電熱線をつなぎかえているだけなので、同じ電圧のもと実験を行っています。
よってもっとも温度が上がりやすいAに大きな電流が流れています。
大きな電流が流れやすいということは、抵抗が小さいということです。
大問6の解説
(ア)
非電解質の水溶液は電気を通しませんので、電池には不適切です。
非電解質の水溶液としては砂糖水・エタノールを覚えておきましょう。
(イ)
電池のしくみをきちんと知っておきましょう。
電池をつくるには
①電解質の水溶液
②イオン化傾向の異なる2枚の金属板
が必要です。
①については砂糖水・エタノールが適さないということを覚えておきましょう。
②については次の順番を覚えましょう。
これはそれぞれの元素をイオンになりやすいものから順に並べたものです。
(この「イオンにどれくらいなりやすいか」をイオン化傾向といいます)
ではこの問題のように亜鉛と銅を使った場合を見てみましょう。
亜鉛と銅のイオン化傾向を比べると
亜鉛はイオンになりやすく、銅はイオンになりにくい
ことがわかります。
ここで亜鉛はイオンになろうとします。
もともと持っている電子を失い、亜鉛イオンへと変化するのです。(↓の図)
この電子は電子オルゴールを通り、銅板に向かいます。
銅板ではやってきた電子が水溶液中の水素イオンと結びつきます。(↓の図)
水素イオンは水素原子となります。
こうやってできた多数の水素原子が互いに結びつき、水素分子ができます。(水素の気体の発生)
このように電子は
亜鉛板→電子オルゴール→銅板
へと移動していきます。(↓の図)
一方で電流の流れは電子の流れの反対向きです。
よって電流は
銅板→電子オルゴール→亜鉛板
と流れます。(↓の図)
銅板は+極、亜鉛板は-極といえます。
このように
イオン化傾向の大きい方の金属→-極になって溶けてしまう
イオン化傾向の小さい方の金属→+極になって水素が発生
となります。
覚えておきましょう。
(ウ)(ⅰ)
Kさんの1つ目のセリフに注目。
「うすい塩酸に溶けやすい方の金属」とはイオン化傾向の大きい方の金属のこと。
これを電子オルゴールのbの端子につないだとき、オルゴールは鳴ると書いてあります。
電子オルゴールのbの端子と-極をつなぐと鳴るということですね。
(つまり電子オルゴールは発光ダイオードと同じように一方向の電流しか通さないのです。)
Lさんの2つ目のセリフ。
「亜鉛板と金属板Xをうすい塩酸に入れてみたところ、金属板Xの方がよく溶けていました」
この部分から金属板Xの方がイオン化傾向が大きいことがわかります。
よって文中の下線部のように、亜鉛板と金属板Xを使って電池をつくった場合。
金属板Xが-極、亜鉛板が+極となります。
してがって
電子オルゴールのaの端子に亜鉛板
電子オルゴールのbの端子に金属板X
をつなぐと鳴るはずです。
また亜鉛板は+極になっているので水素が発生します。
(ウ)(ⅱ)
(ⅰ)よりXと銅と亜鉛のイオン化傾向は
[イオンになりやすい]← X・亜鉛・銅 →[イオンになりにくい]
の順であることがわかります。
また〔実験3〕よりYと亜鉛のイオン化傾向は
[イオンになりやすい]← 亜鉛・Y →[イオンになりにくい]
の順であると言えます。
しかし文中にある通り、Yと銅についてはその順番がわかりません。
よってYと銅を使って電池をつくってみればそのイオン化傾向の順がはっきりするはずです。
大問7の解説
(ア)
赤色に着色した水が通る部分とは道管のこと。
(イ)
次の表のように、蒸散可能な部分には○を、ワセリンをぬって蒸散ができない部分には×を書いてみます。
AとBでは葉の表にワセリンをぬっているかどうかのちがいです。
CとDでも葉の表にワセリンをぬっているかどうかのちがいです。
よってAとBのちがいは葉の表の蒸散量によるもの。
CとDのちがいも葉の表の蒸散量によるものとなります。
(ウ)
ふの部分では蒸散が行われていないという仮説を確かめたいわけです。
この仮説が正しいならば
ワセリンを全体にぬったときの蒸散量=ほぼ0
緑色の部分にワセリンをぬったときの蒸散量=ほぼ0
となるはずです。
(エ)
問題文が長いですが、結局は
一定面積当たりの蒸散量(=蒸散量÷葉の面積)
を計算すればよいことになります。
植物G 115÷230=0.5
植物H 96÷120=0.8
植物I 150÷100=1.5
植物J 126÷70=1.8
植物Jが最も一定面積当たりの蒸散量が大きいですね。
大問8の解説
まず2種類のグラフ。
どちらが気温・湿度をそれぞれ表しているかです。
気温・・・1日の中で13:00~15:00ごろ最も高い
湿度・・・気温とは反対の変化をする
という特徴があります。
したがって点線のグラフ(………)が気温を表し、実線のグラフ(―――)が湿度を表しています。
(イ)
積乱雲による雨が降った=寒冷前線が通過したということです。
寒冷前線が通過した場合、
①気温が下がる
②風向が南寄りから北寄りに変化する
③気圧が上がっていく
④はげしい雨が降り出す
という変化が起こります。(特に①②が重要)
よってグラフから2日目の4時から6時に寒冷前線が通過したと考えられます。(↓の図)
(4時から6時で気温が下がり、風向が南寄りから北寄りに変化している。)
(ウ)
前問で書いた通り、寒冷前線通過後は気圧が上がっていきます。
よって1の選択肢が正解。
(エ)
日本付近の天気は、偏西風の影響で、西から東へと移り変わります。
(地図上を右に動いていくということです)
地域Aで弱い雨を降らせる雲(=乱層雲のこと)が見られたということは、
さかのぼれば、地域Aより西側(左側)の地域で乱層雲が見られたことになります。
またこの地域Aでは
(イ)より2日目の4時~6時に寒冷前線が通過しました。
ということは乱層雲による雨はそれより前に降ったはずです。
考えられるのはグラフの1日目の16時~18時です。
よって地域Aで乱層雲による雨が降ったのは1日目16時。(↓の図)
よって乱層雲を含む温暖前線の進む速さは
$$945km÷(16時-1時)=63km/h$$
となります。
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