このページでは「電離とは何か」「電離のようすを表す式」「電解質とは」について解説しています。
イオンの単元の学習を進めるには「イオンとは何か?」をきちんと理解しておく必要があります。
イオンについて知りたい人は→【イオンとは】←を確認してみてください。
1.イオンどうしの結びつき
■金属の代表例
K・Ca・Na・Mg・Al・Zn・Fe・Cu・Ag
以上が金属の代表例。必ず押さえよう。
■イオン同士が結びついてできている物質
陽イオンと陰イオンが結びついてできている物質がある。
①金属化合物、②水素イオンと陰イオンの化合物がその代表例。
①金属化合物
金属化合物とは、金属元素と非金属元素が結びついたものです。
これらの結びつきはイオン結合といわれます。
金属元素は陽イオン、非金属元素は陰イオンとなって結びついています。
例えば酸化銅。
化学式で書くとCuOです。
実際は
銅原子と酸素原子が結びついているというより
銅イオンCu2+と酸化物イオンO2-が結びついている
といえます。
ほかにも塩化ナトリウム。
化学式で書くとNaCl。
これも
ナトリウム原子と塩素原子が結びついている、というより
ナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl-が結びついている
といえます。(↓の図)
②水素イオンと陰イオンの化合物
塩化水素HCl・硫酸H2SO4・硝酸HNO3・炭酸H2CO3などは、すべて水素Hが含まれてます。
これらは
「水素原子+その他の原子が結びついてできている」というよりは、
水素イオンと陰イオンが結びついてできている
といえます。
これらを水に溶かすと・・・
以上の①②のような陽イオンと陰イオンが結びついてできている物質。
これらは、水に溶かすと、その結びつきが取れてバラバラになります。
↓例えば塩化ナトリウムを水に溶かしすと・・・
水の中で、塩化ナトリウムNaClがナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl-になってしまいます。
このようにイオン同士が結びついている物質は水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれます。
この現象を電離といいます。
■電離
陽イオンと陰イオンが結びついてできている物質を水に溶かす。
そのときに陽イオンと陰イオンに分かれること。
※イオン同士が結びついている物質が融解(固体から液体に変化)しても電離する。
2.電離式
さまざまな物質で電離の様子を見てみましょう。
例① 塩化ナトリウム(NaCl)の場合
塩化ナトリウムは化学式NaClです。
見た目は↓のように、ナトリウム原子Naと塩素原子Clが結びついていると思えますが・・・
実際はナトリウムイオンと塩化物イオンが結びついています。(↓の図)
これらは水に溶かすことで↓のようになります。
これを化学反応式のように
「左辺:電離前→右辺:電離後」として、化学式やイオン式をつかって表します。
電離のようす
NaCl → Na+ + Cl-
このように電離のようすを「化学式」「イオン式」で表した式を、電離式といいます。
例② 塩化銅CuCl2の場合
塩化銅は化学式CuCl2です。
化学式を見ると、銅原子Cu1つと塩素原子Clが2つ結びついているように見えますが・・・(↓の図)
実際は、銅イオンCu2+と塩化物イオンCl-2つが結びついてできています。
となっています。
これを水に溶かすと、バラバラになってしまいます。(↓の図)
このように、塩化銅は銅イオン1つと塩化物イオン2つに電離します。
これを化学式やイオン式をつかって表すと
電離のようす
CuCl2 → Cu2+ + 2Cl-
となります。
これが塩化銅の電離式です。
電離式を書くポイント
電離とは、物質が陽イオンと陰イオンに分かれることなので
物質 → 陽イオン + 陰イオン
という形の式になります。
また
左辺と右辺で各元素の個数が同じである
必要があります。
例えば
CuCl2 → Cu2+ + Cl–
という式は誤りです。
左辺のCl原子は2個。
右辺のCl-は1個。
と個数が異なるためです。
左辺と右辺で各元素の個数を同じになるように書きましょう。
3.代表的な電離式
■主な電離式
まずはイオン式を必ず暗記です。
そのうえで次の電離式が書けるようになりましょう。
★の印のものは必ず書けるように。
*の印のものは余裕があれば書けるように。
4.電解質と非電解質
■電解質
電離する物質のこと。
つまり水に溶けて陽イオンと陰イオンに分かれる物質のこと。
電解質の水溶液は電流を通すという性質がある。
例)上述の金属化合物・水素イオンと陰イオンが結びついた物質
■非電解質
水に溶けても電離しない物質。
非電解質の水溶液は電気を通さない。
例)砂糖・エタノール(有機物)
※この2つは頻出。必ず覚えましょう。
よくある間違い
※よくあるひっかけ問題を1つ紹介します。
問題 塩化ナトリウムの固体は電気を通しますか?
(答)
固体の塩化ナトリウム自体は電気を通しません。
塩化ナトリウムの溶けた水溶液が電気を通すのです。
POINT!!
電解質そのものが電気を通すとは限らない。
電解質が溶けた水溶液は、必ず電気を通します。
※ただし塩化ナトリウムは融解させる(液体にする)と電離してしまいます。
そのため液体の塩化ナトリウムは電気を通す、と言えます。
多くの電解質は、融解すると電離してしまいます。
POINT!!
・電離とは、物質が陽イオンと陰イオンに分かれること。
・電解質=電離する物質=金属化合物・水素イオンと陰イオンが結びついた物質のこと!
・電解質の水溶液は電気を通す。
・非電解質の代表例は砂糖とエタノール。
・イオン式を覚えると電離式が書ける。イオン式を必ず覚えよう!
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