中3化学【沈殿が生じる中和反応】

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1.中和反応

■中和
酸とアルカリが反応して互いの性質を打ち消し合う反応。
酸とアルカリが反応して水が生じる反応ともいえる。

酸・アルカリとは…
・・・電離してHを生じる物質
アルカリ・・・電離してOHを生じる物質
という物質でした。
→【酸とアルカリ】←を参考に。

酸とアルカリを混ぜ合わせると
HOHが結びついて水H2Oが生じます。

式で書くと
H + OH → H2O
となります。
この反応を中和(中和反応)といいます。

また水以外に生じる物質を塩(えん)といいます。
※詳しくは→【中和反応】←を参考に。

2.硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和

硫酸と水酸化バリウム水溶液が中和反応をすると…

水と、水以外に硫酸バリウムBaSO4という塩ができます。
硫酸バリウムは水に溶けずに沈殿するという性質があります。


では次の実験で、硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和について見てみましょう。

実験

■ビーカーにうすい硫酸を入れておく。

■このビーカーにBTB溶液を2、3滴加える。
→このときビーカーには硫酸が入っているのでBTB溶液は黄色に変化。

■このビーカーに水酸化バリウム水溶液を少しずつ加え、BTB溶液の色の変化を確認する。


このときのビーカー内で起こっている変化を1つずつ見ていきましょう。

①ビーカーにうすい硫酸のみが入っているとき

硫酸は次のように電離しています。
H2SO4 → 2H + SO42-
(HSO42-個数比が2:1になっています)

ここでは↓のようなモデルで硫酸の電離を考えます。

水素イオンHが4個、硫酸イオンSO42-が2個入っています。
(あくまでモデル、たとえです。こんなにイオンが少ないことは実際にはほぼありえません。)

水素イオンHがあるので溶液は酸性を示します。
よってBTB溶液は黄色になりますね。

②水酸化バリウム水溶液を少し加えたとき

ではここで水酸化バリウム水溶液を加えてみます。

水酸化バリウムBa(OH)2は水溶液中で
Ba(OH)2 → Ba2+ + 2OH
(Ba2+OH個数比1:2になっています)
と電離しています。

いまBa2+1個とOH2個のセットを加えたとしましょう。

ここでHOHが結びついて水H2Oになります。

つまり中和が起こります。(↓の図)

同時にBa2+とSO42-が結びついて硫酸バリウムBaSO4が生じます。(↓の図)

この硫酸バリウムは水に溶けません(非電解質の塩)でした。
そのためビーカーの底に沈殿します。(色は白色)

このとき水素イオンHがあるので溶液全体は酸性を示します。
よってBTB溶液は黄色のまま(少しうすくなる)です。

③水酸化バリウム水溶液をさらに加えたとき

さきほどのビーカーにさらにBa2+1個とOH2個のセットを加えたとしましょう。

①と同様にHOHが結びついて水H2Oになります。
つまり中和が起こります

同時にBa2+とSO42-が結びついて硫酸バリウムBaSO4が生じます。(↓の図)

このときビーカーにはHOHも存在しません。

よって酸性でもアルカリ性でもなく、中性ということになります。

つまりBTB溶液は緑色に変化しますね。

④水酸化バリウム水溶液をもう一度加えたとき

そしてさらにBa2+1個とOH2個のセットを加えたとしましょう。

③が終わった時点でHがありません。

よってOHはだれとも反応することなくそのままです。
また②が終わった時点ではSO42-もありません。

よってBa2+もだれとも反応することもなくそのままです。(↓の図)

このときビーカーにはOHが存在します。

つまり溶液はアルカリ性を示します。
BTB溶液は青色へと変化します。

まとめ

それぞれのビーカーの液性は↑の図の通り変化していきます。

また酸の性質として、
金属と反応して水素を発生させる
というものがあります。

左側2つのビーカーは酸性です。
よってこの2つはマグネシウム(Mg)などの金属片を入れると水素を発生させながら溶けます

各イオンの数の変化

各イオンの数の変化をグラフにまとめてみましょう。

▼水素イオンH


水酸化バリウム水溶液が加えられるにつれ、中和が起こるのでHの数は減少していきます。(H2Oに変化していく)

▼硫酸イオンSO42-

水酸化バリウム水溶液が加えられるにつれ、SO42-Ba2+と結びつき硫酸バリウムBaSO4という白色沈殿になります。
よってSO42-の数は減少していきます。

▼バリウムイオンBa2+

水酸化バリウム水溶液が加えられても、Ba2+SO42-と結びついてBaSO4になってしまいます。
よってビーカーにはBa2+は残らないことになります。

しかしSO42-がなくなった時点で、Ba2+はだれとも反応できなくなります。
そのためビーカーにそのままたまっていく(増加していく)ことになります。

▼水酸化物イオンOH

水酸化バリウム水溶液が加えられても、OHHと結びついてH2Oになってしまいます。
よってビーカーにはOHは残らないことになります。
しかしHがなくなった時点で、OHはだれとも反応できません。
そのためビーカーにそのままたまっていく(増加していく)ことになります。

イオンの総数・電流

先ほどの4つのグラフ(H・SO42-・Ba2+・OH)を1つの図にまとめましょう。(↓の図)

このグラフの注意点。
硫酸は次のように電離しました。
H2SO4 → 2H + SO42-
つまりHSO42-の個数比が2:1です。

よってHはSO42-の2倍存在するのです。

水酸化バリウム水溶液も同様です。
Ba(OH)2 → Ba2+ + 2OH
つまりBa2+OHの個数比が1:2です。

よってOHはBa2+の2倍存在するのです。

このためそれぞれのグラフの傾きが異なるのです。

そして重要なのは、中性のときイオンの総数が0個ということです。

よってイオン濃度のグラフは以下のように変化します。

イオン濃度は電流の流れやすさに影響します。

イオン濃度が高いほど電流は流れやすい(電子の受け渡しをしやすい)です。

水酸化バリウム水溶液を加えた直後の溶液に電流を流したときのグラフは↓のようになります。

中性のときにはイオンの総数は0個なので電流は流れません
ここは必ず押さえておきましょう。

生じた沈殿の量

生じた硫酸バリウムのグラフは↓のようになります。

中性の時点でビーカーにはHSO42-もありません。
それ以降、水酸化バリウム水溶液を加えても硫酸バリウムは生じません。

3.沈殿が生じる組み合わせ

塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和では塩化ナトリウムという塩ができました。
塩化ナトリウムは水に溶ける塩、電解質です。

一方先ほど見たのは硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和。
生じた塩は硫酸バリウム水に溶けない塩、非電解質です。(沈殿となりビーカーの底にたまる)

ほかにも非電解質の塩(沈殿)ができる組み合わせがあります。

どれも白色の沈殿です。
この4つについては覚えておいてもいいかもしれません。

■このページのポイント

・各イオンの数の変化のグラフをイメージできるように。
・生じる塩が非電解質であり、沈殿としてビーカーの底にたまる場合、中性のときに電流が流れない。
・しかし塩が電解質の場合は電流が流れにくいがゼロではない。
・つまり塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和と、硫酸と水酸化バリウム水溶液の中和ではやや異なる点がある。このちがいを理解しておこう。

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