このページには教科書内容を超えた発展的な内容が含まれます。
1.非オーム抵抗
ある材質において、加わる電圧と流れる電流が比例の関係にあること。
中学理科でよく出てくる電熱線の多くはニッケルクロム線(ニクロム線)と呼ばれます。
このニクロムという物質は、加える電圧を大きくすると流れる電流も大きくなります。
つまりオームの法則が成り立つ物質なんですね。
そのため、電圧と電流の関係をグラフにすると直線(比例の関係)になります。
グラフのどの場所で計算しても抵抗値は一定になります。
これが中学校の理科の「オームの法則」のお話しです。
しかし、世の中の金属がすべて「オームの法則が成り立つ」わけではありません。
例えばタングステンという物質。
電球に使われる金属です。
タングステンに加わる電圧と電流の関係をグラフにすると↓のようになります。
まっすぐな「比例」のグラフではありません。
これはオームの法則が成り立たず、抵抗値が一定ではないことを表します。
例えばア~ウの各点における抵抗値を計算してみましょう。
$$抵抗(Ω)=\frac{電圧(V)}{電流(A)}$$
を使います。
アの場合は
$$\frac{1.5V}{0.05A}=30Ω$$
イの場合は
$$\frac{4.5V}{0.11A}=40.90・・・≒約41Ω$$
ウの場合は
$$\frac{9V}{0.15A}=60Ω$$
このようにタングステンでは、抵抗値が一定ではありません。
このような関係を示す抵抗のことを非オーム抵抗(非線形抵抗)といいます。
(言葉までは覚える必要はありません)
大切なのは、抵抗が一定ではないということです。
非オーム抵抗の特徴は
ア(30Ω)→イ(41Ω)→ウ(60Ω)
と電圧を大きくするほど抵抗値が大きくなるというところです。(↓の図)
2.非オーム抵抗の問題
例題1
例題1 答えと解説
同じ豆電球が2つ直列につながれているので、加わる電圧は4.5Vずつになります。(↓の図)
ここで、豆電球にかかる電圧が4.5Vのときの電流を、グラフから読み取ります。
よって0.11Aが正解となります。
例題2
例題2 答えと解説
この豆電球は並列につながれています。
そのため1つの豆電球に加わる電圧は9Vです。(↓の図)
ここで豆電球に9Vの電圧が加わっているときに流れる電流を、グラフから読み取ります。
よって豆電球1個あたりには0.15Aが流れます。
(回路全体では0.15A×2=0.3Aの電流です。)
非オーム抵抗に関するもっとも難しい問題は次の例題です。
これは高校物理のレベルなので、中学生の間は解けなくてもよいと思います。
例題3 *難しい
例題3 答えと解説
これは非常に難しい問題です。
まず豆電球に流れる電流をI(A)、豆電球に加わる電圧をV(V)としましょう。(↓の図)
75Ωの電熱線に流れる電流もI(A)です。(↓の図)
すると75Ωの電熱線に加わる電圧は
$$75I(V)$$
と表すことができます。
電源電圧が12.75Vなので、豆電球に加わる電圧は
$$12.75-75I(V)$$
と表せます。(↓の図)
よって
$$V=12.75-75I(V)$$
の関係があります。
この式を I=・・・ の形に変形します。
$$75I=-V+12.75$$
$$I=-\frac{V}{75}+\frac{12.75}{75}$$
$$I=-\frac{V}{75}+0.17$$
このIとVは一次関数の関係になっています。
IとVなのでわかりにくいですが、xとyに置き換えると
$$y=-\frac{x}{75}+0.17$$
となりますので、xの一次関数と言えます。
そのグラフを書いてみます。(↓の図)
ここでグラフの交点を見ます。
交点の値が、豆電球の電圧と電流を表すのです。
よって豆電球に流れる電流は0.11Aとなります。
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