このページでは2022年度(令和4年)の神奈川県立入試共通選抜の問題を解説しています。(理科のみ)
問題・模範解答はこちら↓↓
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/dc4/nyusen/nyusen/gakuryokukensa/mondai.html
問1の解説
(ア)
aの選択肢・・・音の粒子というものは存在しませんので誤り。音は物体が振動することで伝わるものです。
bの選択肢・・・音は固体・液体・気体のどの状態でも伝わりますので誤り。真空中では伝わりません。
(イ)
投げ上げた物体は少しずつ速さが小さくなります(重力によって仕事をされるため)。
そのため運動エネルギーは減少します。
(ウ)
回路①は直列、②は並列です。
直列の方が全体の抵抗が大きいため、電流が流れにくく、並列の方が全体の抵抗が小さいため電流が流れやすいです。
そのため、↓のAのグラフが回路②を表し、Bのグラフが①を表します。
回路①について。
グラフBより
$$①の合成抵抗=\frac{3.0V}{0.1A}=30Ω$$
Aの抵抗は20Ωなので
$$Bの抵抗=30Ω-20Ω=10Ω$$
続いて回路②について。
グラフAより
$$②の合成抵抗=\frac{1.0V}{0.1A}=10Ω・・・(*)$$
またCの抵抗をx(Ω)とすると、②のような並列回路の合成抵抗は
$$並列の合成抵抗=\frac{2つの抵抗の積}{2つの抵抗の和}$$
$$=\frac{20×x}{20+x}$$
と表すこともできます。
これが(*)と等しいので
$$\frac{20x}{20+x}=10$$
これを解いてx=20Ω
したがってBの抵抗は10Ω、Cの抵抗は20Ωとなります。
問2の解説
(イ)
質量保存の法則を考えましょう。
a=うすい塩酸+ビーカー
b=石灰石
c=反応後に残った物質+ビーカー
を表しています。
発生した二酸化炭素の質量も考慮すると、質量保存の法則より
a+b=c+二酸化炭素
となるので
二酸化炭素=a+b-c
となります。
(ウ)
化学反応式では、両辺の各原子の個数が等しくなければなりません。
まず左辺から水素原子が8個とわかります。(↓の図)
右辺の水素原子も8個であるため、(い)=4となります。
次に右辺の酸素原子の合計が6+4=10個とわかります。(↓の図)
左辺の酸素原子も10個であるため、(あ)=5となります。
問3の解説
(イ)
条件を1つずつ変えて、結果を比べる実験方法を対照実験と言います。
「結果の違いを見て、その原因は条件が違うからだ」と考えるのです。(詳しくはこちら→【対照実験とは】←)
この実験で確かめたいのは「光合成には二酸化炭素が必要」ということ。
では実験を始める前の条件が「二酸化炭素があるもの」と「二酸化炭素がないもの」、そしてそれ以外の条件がすべて同じということです。
その組み合わせはAとB、CとD、EとFです。
CとDはともに光が当たらないので、光合成ができません、結果に違いが表れないのです。
EとFはともにオオカナダモが入っていないので、光合成が起こるはずありません。これも結果に違いが表れません。
よってAとBを比較するということになります。
(ウ)
グラフより、ゾウリムシは最大で120匹いたことがわかります。
一方でシオカメウズムシは最大でも40匹以下。
このことから
シオカメウズムシがゾウリムシを食べる(ゾウリムシはシオカメウズムシのエサ)
とわかります。
※生産者と消費者は↓のようなピラミッドのような個体数の関係があります。
「シオカメウズムシがゾウリムシを食べる」という意味の記述は4の選択肢のみです。
問4の解説
(ア)
問題文の通り、湿球温度計ではしめったガーゼが蒸発する際に湿球の熱を奪っていきます。(↓の図)
これにより湿球は乾球温度計よりも低い温度を示します。
したがってガーゼが乾いていると「熱を奪われない=示す値は高い」ということになります。
乾球と湿球の差がなければ湿度は100%を意味します。
したがってガーゼが乾いていると「乾球と湿球の温度差がない=湿度は高い」ということになります。
(イ)
寒冷前線は次の特徴があることを覚えておきましょう。
(ウ)
A層とB層の間のでこぼこな面は不整合面と呼ばれます。
これはB層が隆起し、B層の上部がけずられたことを意味します。(詳しくはこちら→【大地の変動】←)
図から断層の上側部分もけずられて不整合面となっていることがわかります。
つまり断層が先に存在し、あとから不整合面ができたということになります。
よってBCD層の堆積→断層の形成→不整合面の形成→A層の堆積という順になります。
問5の解説
(ア)
光源の位置が、実像ができる位置の場合、レンズを通った光は実像の箇所に集まります。(↓の図)
よって②③④⑤⑥の光はレンズを通過したあと、実像の所に集まることになります。
(イ)
焦点距離の考えるポイントは↓です。
焦点距離2倍の位置に物体を置くと、反対側の焦点距離2倍の位置に実像ができます。
つまり物体~レンズまで=レンズ~実像までとなっているとき、
物体~レンズまで=レンズ~実像まで=焦点距離の2倍
を意味します。
図2の点Cを見ると
物体~レンズまで=レンズ~スクリーンまで=40cm
となっています。
つまり焦点距離の2倍=40cmです。
したがって焦点距離は20cmとなります。
(エ)
虚像は、焦点よりもレンズに近い位置に物体を置くとできる像です。
このとき物体から出る光は↓のように交わることがありません。(交わるのは実像ができるとき)
この問いでは
「物体~レンズまで=15cm」の状態から「物体~レンズまで=5cm」
にしようとしています。
実際に作図しながら比べてみましょう。(↓の図)
下の図のように物体がレンズに近づくほど、より小さな虚像ができます。
問6の解説
金属のイオンへのなりやすさをイオン化傾向と言います。
↓のような順になっています。
イオン化傾向が大きい方・・・イオンになる or イオンのまま
イオン化傾向が小さい方・・・原子になる or 原子のまま
という性質があります。
(ア)
亜鉛と銅では、イオン化傾向が大きいのは亜鉛です。
つまり亜鉛原子が亜鉛イオンZn2+になろうとします。
式で表すと Zn → Zn2+ + 2e-
亜鉛原子から放出された電子e-をもらうのが、硫酸銅水溶液中の銅イオン Cu2+ です。
式で表すと Cu2+ + 2e- → Cu
このようにイオン化傾向の小さな銅イオンは銅原子になろうとします。
(エ)
(イ)の問題文にもある通り、イオン化傾向は
マグネシウム>亜鉛>銅
の順です。
実験1の表より金属Xは硫酸銅水溶液とだけ反応します。
よってXのイオン化傾向は
マグネシウム>亜鉛>X>銅
という順であるとわかります。
イオン化傾向の差が大きい金属を使うほど、電圧の大きな電池となります。
問7の解説
(ア)
タンパク質を分解する消化酵素を含むのは
胃液・すい液・小腸の内側から出る酵素
の3つです。
(ウ)
グラフから、にごりの度合いが0になる時間は
A:6分→B:12分→C:24分
となっています。
これは表2の上澄み液の体積と反比例していることがわかります。
これを利用して試験管Dのにごりの度合いが0になるのは48分後とわかります。
問8の解説
(ア)
地球以外のすべての星は、天球上を地軸を中心に回転しているように見えます。(星の日周運動)
ということは地軸の延長上にある星だけはその場から動かないことになります。
この星を北極星と呼びます。
(ウ)
日周運動・・・星が1時間で15度ずつ動いているように見える。
年周運動・・・星が1日で1度ずつ(1ヶ月で30度)動いているように見える。
問題の条件をまとめると
観察1→ある日の午後9時
観察2→観察1の数日後の午後8時
です。
観察1と2では、時刻が1時間早いので北斗七星は15度ずれるということ。
観察1と2で、15度ずれて同じ位置に見えるのは15日後となります。
(エ)
北極星の高度は、観測地点の緯度(北緯)で決まります。
↓のように南半球からは見ることができません。
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