このページでは「中枢神経と末しょう神経」「意識的な反応と無意識の反応(反射)のちがい」について解説しています。
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1.中枢神経と末しょう神経
脳とせきずい(脊髄)のこと。
多くの神経が集まっており、判断や命令を出す場所。
せきずいは背骨の後ろ(背中側)にある。
※「せきつい(=背骨)」と混同しないように!
感覚神経と運動神経のこと。
■感覚神経
感覚器官で受け取った刺激を電気的な信号として中枢神経に伝える。
■運動神経
中枢神経から出された命令を運動器官(主に筋肉)へ伝える。
中枢神経と末しょう神経の位置関係は↓のようになっています。
感覚器官(この場合は皮膚)は感覚神経によって、せきずいとつながっています。
運動器官(この場合は筋肉)は運動神経によって、せきずいとつながっています。
感覚神経のある方が背中側、運動神経のある方がお腹側です。(↓の図)
2.刺激と反応
外に出ると寒かったので手袋をした。
タイトルのような反応を考えましょう。
まず「寒さ」という刺激を受け取ったのが皮膚です。(↓の図)
その刺激が電気信号となり脳へ伝わります。
そこでヒトは「寒い」と感じます。
「じゃあ手袋をしよう」
そのための命令が脳から下されます。(↓の図)
その命令が筋肉まで伝わり手袋をする動作をします。(↓の図)
感覚器官→感覚神経→せきずい→脳→せきずい→運動神経→筋肉
というように信号が伝わって反応が起こっていますね。
そして脳が筋肉を動かすための命令を出しています。
POINT!!
意識的な反応では脳が命令を出している!
やかんに触れると熱かったので思わず手を放した。
今度はタイトルのような反応を考えましょう。
まず「熱」という刺激を受け取ったのが皮膚です。(↓の図)
しかしやかんがとても熱い場合、急いで手を離さなければやけどして危険です。(↓の図)
そのため脳に信号を送るよりも筋肉に信号を送ります。
脳ではなくせきずいが命令を出すのです。(↓の図)
せきずいが出した命令が筋肉に伝わるとやかんから手を放します。
この反応では
感覚器官→感覚神経→せきずい→運動神経→筋肉
と反応が伝わっています。
脳で意識することなく動作をしています。
このような無意識の反応を反射といいます。
意識することなく起こる反応。
生まれつき備わっており、危険を回避することが目的であることが多い。
POINT!!
無意識の反応(反射)では、せきずいが命令を出している!
急にボールが目の前に飛んできて動いてよけた。
次はタイトルのような反応です。
この反応では使っている感覚器官が目であることがポイントです。
目は脳のすぐ近くにある感覚器官です。(↓の図)
まず「ボールが飛んできた」という刺激を目で受けます。(↓の図)
脳からからだを動かすよう命令が筋肉に送られます。(↓の図)
このように目で見て動作を取る場合には
目→感覚神経→脳→せきずい→運動神経→筋肉
と信号が伝わります。
「目」「耳」「鼻」のような「首より上にある感覚器官」の場合は、信号の伝わり方が例1や2と異なるので注意です。
例) 信号が赤になったので止まった。
例) 目の前で手をたたかれて目をつむった。
例) ボールをバットで打ち返した。
POINT!!
首より上にある感覚器官は、感覚神経によって脳に直接つながっている!
(せきずいにつながっているわけではない)
3.反射の例
反射の例としては以下のようなものがあります。
・やかんに手を触れると熱くて思わず手を放してしまった。
→危険の回避。
・暗いところに行くとひとみが大きくなった。
・明るいところに行くとひとみが小さくなった。
→目に入る光の量を調節。これも目に対する危険の回避。
・転んだ時に思わず手が出てしまった。
→危険の回避。
・ひざの下をたたくと足が動いた。
→危険の回避ではないがヒトが生まれ持っている反射。しつがい腱反射という。
・食べ物を口に入れるとだ液が出てきた。
→消化しないまま飲み込むのは危険。
このように反射は危険の回避を主な目的として行われます。
生まれつき備わっている人間の性質です。
どれも無意識に起こってしまいますね。
しかし次の反応も無意識に起こるものですが、反射ではありません!
・梅干しを見ているとだ液が出てきた。
→梅干しがすっぱいものだと脳が知っているから起こる反応。
・映画を観ていると思わず涙が出てきた。
→その映画の言語、文化、心情などを脳で判断しているから起こる反応。
この2つの反応は「無意識に起こっている」ように見えます。
しかし実際は脳に「経験・知識」などが刷り込まれているからこそ起こる反応です。
これらは反射とは呼びませんので注意しましょう。
POINT!!
・反射とは「危険回避」「生まれつき備わっている(=知識・経験が不要)」反応のこと。
コメント(承認された場合のみ表示されます)
信号が伝わる経路はこの3パターンの
どれかに絶対なるのですか?
あ様
コメントありがとうございます。
ほとんどの場合、この3つのどれかに分類されます。
「ほとんどの場合」と回答されていますが、例外の部分を教えて頂きたいです
おもち様
コメントありがとうございます。
高校入試で出題されたケースはこのページに記載の3つのケース以外を私は知りません。
これ以外のケースがあるのか調べてみましたが、今のところ見つかっていません。
もしかすると例外があるかもしれません。
もし例外が見つかった場合はこちらを更新しておきます。
反射の勉強の役に立ちました!ありがとうございました!(TдT)
ど腐れピーマン様
コメントありがとうございます。
お役に立ててよかったです。
また何かございましたらご活用ください。
目からの刺激による反射については、せきずいではなく大脳が命令を下していることになりますか?多くの教科書では「反射」=「せきずいが命令」というような説明ですが首から上の感覚器官では違うという認識で良いでしょうか。
macaroni様
コメントありがとうございます。
例えば「物が飛んできて思わず目を閉じる」「暗い部屋に行くとひとみが大きくなる(明るい部屋では反対)」のような場合は、脳の一部である中脳という部分が命令を出しています。
「食べ物を口に入れるとだ液が出てくる」という場合は、脳の一部の延髄という部分が命令を出しています。
首から上の感覚器官の場合は脳が命令を出しています(脳のどの部分かはケースバイケース)。
「手が冷たくなったので、ストーブに手をかざした。」と、「外に出ると寒かったので手袋をした」は一緒ですか?
kk様
コメントありがとうございます。
どちらも刺激の伝わりは同じと考えてよいです。