1.瞬間の速さ
■瞬間の速さ
一瞬一瞬で持つ速さのこと。
※平均の速さについては→【速さの測定・記録タイマー】←参考に。
ここでは瞬間の速さの求め方を説明します。
瞬間の速さを求めるための公式はありません。
平均の速さの公式で代用するしかありません。
$$平均の速さ=\frac{距離}{時間}$$
瞬間の速さを求めるには
瞬間の速さは、その瞬間を時間的中点とする区間の平均の速さに等しい
ということを利用します。
これはどういう意味かというと・・・
例えば「1.0秒後の瞬間の速さを求めよ」と言われれば・・・
「1.0秒」を時間的中点とする区間として
「0秒後~2.0秒後」という区間や「0.5秒後~1.5秒後」という区間
を取ってきます。
「1.0秒」を真ん中とする時間の区間を取るわけです。
例として、テストの平均点を考えてみましょう。
Aくんの今回の数学のテストの平均点は58点でした。
これは「ちょうど真ん中にあたる生徒の点数」に等しいですよね?
平均とは「真ん中の生徒の点数」に等しいのです。
それと同じで
「2秒後~4秒後の平均の速さ」=「3秒後(2秒後と4秒後の真ん中)の瞬間の速さ」
ということになるんです。
POINT!!
n秒後の瞬間の速さを求めたい
→ n秒が真ん中となるように「○○秒~●●秒」の区間を決める
→ 「○○秒~●●秒」の区間の平均の速さを求める
【例題】
台車が矢印の方向に動いたときの記録テープの様子が上図である。
点Aを記録したのがを0秒後として次の問いに答えよ。
ただし記録タイマーは1秒間に50打点したものとする。
(1) 0秒後から0.2秒後までの平均の速さを求めよ。
(2) 0.1秒後の瞬間の速さを求めよ。
(3) 0.15秒後の瞬間の速さを求めよ。
(答)
(1)
Aが0秒後の点ですから、Bは0.1秒後、Cは0.2秒後の点となります。
$$0秒後~0.2秒後の平均の速さ=\frac{3cm+5cm}{0.2s}=40cm/s$$
となります。
よって40cm/sが正解です。
(2)
0.1秒後の瞬間の速さ=0秒後~0.2秒後の平均の速さです。
つまり(1)より
0秒後~0.2秒後の平均の速さ=40cm/s
ですので
0.1秒後の瞬間の速さ=40cm/s
となります。
よって40cm/sが正解です。
(3)
0.15秒後の瞬間の速さ=0.1秒後~0.2秒後の平均の速さです。
$$0.1秒後~0.2秒後の平均の速さ=\frac{5cm}{0.1s}=50cm/s$$
ですので
0.15秒後の瞬間の速さ=50cm/s
となります。
よって50cm/sが正解です。
しかしながら・・・
高校入試の問題では「瞬間の速さを求めよ」という表記はほとんどありません。
多くの場合「●●秒後の速さを求めよ」と書いてあります。
つまり「瞬間」という言葉が表記されていません。
「3秒後の速さを求めよ」とあれば「3秒後の瞬間の速さを求めよ」ということ。
そのため「2秒~4秒の平均の速さを求める」ことになるわけです。
POINT!!
・瞬間の速さは、その瞬間を時間的中点とする区間の平均の速さに等しい。
・「●●秒後の速さを求めよ」は「瞬間の速さ」を求めるということ。
※この瞬間の速さの求め方は・・・
「速さが時間に比例して変化する」運動にしか用いることはできません。
自由落下や摩擦のない斜面を物体がすべりおりる運動などです。
ただし高校入試では「速さが時間に比例して変化する運動」しか出題されないのであまり気にしなくてもよいです。
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