力の合成・分解を利用して3力のつり合いを考えてみましょう。
力の合成・分解に関しては→【力の合成・分解】←を参考に。
また三平方の定理に関する知識も必要です。
分力を使った力のつり合い
例題1
ばねと糸、6kgのおもりを次のようにつなぐと、図の状態で静止した。
このときばね・糸Tに加わる力はそれぞれ何Nか。
ただし100gの物体にはたらく重力を1Nとする。
解法① 糸・ばねの方向に力を分解する
おもりの質量は6kgです。
このおもりには60Nの重力がはたらいています。
この力を↓の図のように糸Tの延長方向・ばねの延長方向に分解することを考えます。
※作図手順は→【力の合成・分解】←を参考に。
手順に沿って作図すると↓のようになります。
このときできた三角形に注目すると・・・
30度・60度・90度の三角形が隠れています。(↓の図)
この三角形の辺の比は
$$1:\sqrt{3}:2$$
です。(↓の図)
よって
$$糸Tにはたらく分力=60N×\frac{\sqrt{3}}{2}=30\sqrt{3}(N)$$
$$ばねにはたらく分力=60N×\frac{1}{2}=30(N)$$
となります。(↓の図)
解法② 張力や弾性力を水平・鉛直方向に分解
張力とは糸が物体を引く力です。
また、
弾性力とはばねが物体を引く力です。
それぞれを図示すると↓のようになります。
これを水平・鉛直方向に分解します。(↓の図)
(水平・・・横方向 鉛直・・・縦方向)
まずはばねが引く力を分解しましょう。(↓の図)
ここにも30度・60度・90度の三角形がかくれています。
ばねが引く力をx(N)とすると
$$ばねが引く力の水平方向の分力=x(N)×\frac{\sqrt{3}}{2}=\frac{\sqrt{3}}{2}x(N)$$
$$ばねが引く力の鉛直方向の分力=x(N)×\frac{1}{2}=\frac{1}{2}x(N)$$
と表せます。(↓の図)
続いて糸Tが引く力を分解しましょう。
またも30度・60度・90度の三角形がかくれています。
糸Tが引く力をy(N)とすると
$$糸Tが引く力の水平方向の分力=y(N)×\frac{1}{2}=\frac{1}{2}y(N)$$
$$糸Tが引く力の鉛直方向の分力=y(N)×\frac{\sqrt{3}}{2}=\frac{\sqrt{3}}{2}y(N)$$
と表せます。(↓の図)
まとめると↓の図のようになります。
ここで
水平方向の力がそれぞれつり合い、鉛直方向の力もそれぞれつりあっているはず。
水平方向の力のつり合いから
$$\frac{\sqrt{3}}{2}x(N)=\frac{1}{2}y(N)・・・①$$
鉛直方向の力のつり合いから
$$\frac{1}{2}x(N)+\frac{\sqrt{3}}{2}y(N)=60(N)・・・②$$
①・②をx・yに関する連立方程式として解くと
$$x=30(N)$$
$$y=30\sqrt{3}(N)$$
となります。
よって
$$糸Tにはたらく分力=30\sqrt{3}(N)$$
$$ばねにはたらく分力=30(N)$$
となります。
例題2
糸T・ばね・3kgのおもりを使って
↓の図のようにばねを右向きに引っ張って静止させた。
このときばね・糸Tに加わる力はそれぞれ何Nか。
ただし100gの物体にはたらく重力を1Nとする。
解法① 糸・ばねの方向に力を分解する
おもりの質量は3kgです。
このおもりには30Nの重力がはたらいています。
この力を↓の図のように糸Tの延長方向・ばねの延長方向に分解することを考えます。
これを分解すると↓の図のようになります。
このときできた三角形に注目すると・・・
やっぱり30度・60度・90度の三角形が隠れています。(↓の図)
この三角形の辺の比は
$$1:\sqrt{3}:2$$
です。(↓の図)
よって
$$ばねにはたらく分力=30N×\frac{1}{\sqrt{3}}=\frac{30}{\sqrt{3}}(N)$$
$$糸Tにはたらく分力=30N×\frac{2}{\sqrt{3}}=\frac{60}{\sqrt{3}}(N)$$
となります。(↓の図)
有理化すると
$$ばねにはたらく分力=10\sqrt{3}(N)$$
$$糸Tにはたらく分力=20\sqrt{3}(N)$$
です。
解法② 張力や弾性力を水平・鉛直方向に分解
例題1の解法②でも書いた通り
張力とは糸が物体を引く力です。
弾性力とはばねが物体を引く力です。
それぞれを図示すると↓のようになります。
これを水平・鉛直方向に分解します。(↓の図)
(水平・・・横方向 鉛直・・・縦方向 )
ばねが引く力は水平方向の力なので分解はできません。
糸Tが引く力を分解しましょう。(↓の図)
またも30度・60度・90度の三角形がかくれています。(↓の図)
糸Tが引く力をx(N)とすると
$$糸Tが引く力の水平方向の分力=x(N)×\frac{1}{2}=\frac{1}{2}x(N)$$
$$糸Tが引く力の鉛直方向の分力=x(N)×\frac{\sqrt{3}}{2}=\frac{\sqrt{3}}{2}x(N)$$
ここでばねが引く力をy(N)としましょう。
水平方向の力がそれぞれつり合い、鉛直方向の力もそれぞれつりあっているはずです。
水平方向の力のつり合いから
$$\frac{1}{2}x(N)=y(N)・・・①$$
鉛直方向の力のつり合いから
$$\frac{\sqrt{3}}{2}x(N)=30(N)・・・②$$
②より
$$x=\frac{2}{\sqrt{3}}×30=20\sqrt{3}$$
①より
$$y=\frac{1}{2}×20\sqrt{3}=10\sqrt{3}(N)$$
よって
$$ばねにはたらく力=10\sqrt{3}(N)$$
$$糸Tにはたらく力=20\sqrt{3}(N)$$
となります。
①の方が易しいですが、あまり応用は利きません。
②の方が難しいですが、どの問題にも通用します。
そう難しい入試問題でないならば①の方法で解きましょう。
難しい私立高校を受験するのであれば②の方法で解きましょう。
コメント(承認された場合のみ表示されます)
わかりやすい
t様
コメントありがとうございます。
お役に立てたなら幸いです。
またいつでもご覧ください。